紗倉まな「AV女優も一人の女の子」東京国際映画祭でAV女優への偏見に持論
第30回東京国際映画祭コンペティション部門作品『最低。』(11月25日公開)の記者会見と舞台挨拶が10月31日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、瀬々敬久、森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈、原作者の紗倉まなが出席。紗倉が「AV女優も一人の女の子」と原作者として本作に込めた思いを語った。
人気の現役AV女優・紗倉まなの同名小説を『64‐ロクヨン‐』の瀬々敬久監督が映画化した本作。どうにもならない現実を前に、それでも自分らしく生きようとする女性たちを力強く、ときに繊細に描く。
記者からの質問に答えたこの日。「AV女優への偏見をなくしたいという思いはあるか?」と聞かれると、紗倉は「もともとそういう気持ちはずっと思い続けて仕事をしている。偏見がなくなればいいなと思っている」と回答。
「AV女優も普通の一人の女の子。年間1000人以上の方がAVデビューしていると言われていますが、それだけいるということは、それだけの女の子の普通の日常がある。そこを描けたらいいなという思いで本を書かせていただいた」と作品に込めた思いを語る。
AV業界を描くとあって、どこまでがリアリティなのか気になるところ。紗倉は「どこを視点にどこを切り取るかによって、リアリティというのは人によって違うのかなと思う。業界裏話や暴露系の話をリアリティと思う人もいるかもしれない」と“リアリティ”という言葉について考えつつ、「私は(AV女優を)継続しているところなので、日常が一番リアリティとして自分にそぐう部分」とコメント。
「影の部分や、業界のネガティブな部分をフューチャーされることも多い。私がリアルとして業界について書くのであれば、もっとポジティブな部分を切り取りたいと思った」とAV業界に身を置くからこそ、表現できるものだったと話す。
また完成した映画を観て、「心を打たれた」という紗倉。「AV女優というのは想像もできない仕事だと思う。偏見もあるし、咀嚼するのは難しい要素も多い役だと思う。みなさん美しく演じてくださった。重なり合う思いもあり、感情移入して心を打たれた。ステキな演技をありがとうございました」と女優陣の熱演に感動していた。【取材・文/成田おり枝】