山崎賢人と広瀬アリスが語る、原作ファンのイメージを守る役作り
米澤穂信の代表作<古典部>シリーズの第1作目を映画化した『氷菓』が11月3日(金)より公開される。これまでアニメや漫画など多くのメディアミックス作品が制作されている人気作に挑むに当たって心がけたことは何か、主演の山崎賢人と広瀬アリスの二人を直撃した。
「やらなくていいことならやらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーにする“省エネ主義”の主人公・折木奉太郎を演じた山崎。“名探偵”という位置付けのキャラクターを演じるにあたり、彼がイメージする“名探偵”を訊ねると、真っ先に「コナンですね」と、世代的に最も合致する名前を挙げた。
さらに「撮影に入る前にプロデューサーから、探偵の種類というものについて話し合った」と、役作りの基礎の部分のエピソードを明かす。自分では現場に行かず、頭の中で解決する「安楽椅子探偵」という種類に当たる奉太郎の探偵像を聞いて「探偵ものというジャンルの中にも、さらに細かいジャンルがあることが面白くて、観ている方にもそう思ってもらえるように演じた」と語る。
今回の奉太郎役に加え、このところ『ジョジョの奇妙な冒険 第1章 ダイヤモンドは砕けない』や、同じ時期に公開となる『斉木楠雄のΨ難』など、個性的なキャラクターが続いている山崎。「すでにあるキャラクターを演じるときには、原作ファンの人のイメージが明確にあるから、自分の中でいつもバランスを考えている」と、数多くの人気作の実写化に向き合い、様々な顔を見せてきた彼ならではの試行錯誤を明かした。
とりわけ、アニメ版が人気を博し、キャラクターのヴィジュアルイメージがついているファンも数多くいる作品だけに、漫画やアニメが好きだと語る広瀬は「私たちがすべきことは、小説の世界観に忠実に書かれた台本を、カメラを通して再現することなんじゃないかな、と考えて演じた」と語り「いろんな意見が出るかもしれないけれど、それは『氷菓』という作品が愛されている証拠なんだと思う」と、とくに人気の高い千反田えるを演じる上で感じたプレッシャーにも前向きな姿勢を貫いた。
先日の完成披露イベントの舞台挨拶でも語っていたように、メインキャストを演じた山崎、広瀬、岡山天音、小島藤子の4人は、これまでも何度も共演を果たしている馴染みの深い間柄。山崎と広瀬もドラマ「黒の女教師」などで共演して以来、実に5年以上の付き合いで、インタビュー中もその仲の良さを窺わせ、撮影中に4人揃って、ロケ地の名物である飛騨牛を食べに行ったエピソードを語るなど、楽しげな現場を振り返った。
息の合った若手実力派俳優たちのアンサンブルを楽しめる『氷菓』。累計230万部を売り上げる原作シリーズは、第6作まで発表されているだけに、映画版もシリーズ化されることに期待したい。【取材・文/久保田和馬】