茅野愛衣が語る、若者からオジ様まで誰もが楽しめる「Infini-T Force」の魅力とは?
ガッチャマン、テッカマン、ポリマー、キャシャーンといった往年のタツノコヒーローが一堂に会して活躍するTVアニメ「Infini-T Force」。2018年2月には劇場版も公開されるなど、今期筆頭の注目作のヒロイン・界堂 笑(かいどう エミ)を演じるのは声優の茅野愛衣。「キツい発言が多い今どきの女の子ですが、だからこそ可愛さも出してあげたかった」と語る茅野に、役作りや作品の魅力について語ってもらった。
ガッチャマンを始めとするタツノコヒーローたちのことは、子供の頃にCSの再放送を観て知っていたという茅野。「私にとっても馴染みのあるヒーローたちで、そんな彼らに守ってもらうヒロインを演じさせていただけるのは光栄なことと思いつつ、それがどんな気持ちなのか、演じてみるまではまったく想像もつきませんでした」と、アフレコ前の複雑な心境を振り返る。
茅野が演じるヒロイン・笑は、他人を寄せ付けない冷たい雰囲気を持つ女子高生。その第一印象は「“ウザい”とか“おっさん”とか、言葉づかいがキツくて、だからこそ彼女を嫌われ役にはしたくないなと思いました。彼女は裕福だけど独りぼっちの生活で、しかも自宅に監視カメラまで設置されているんです。これって普通の女の子が育つ環境じゃないですよね。笑が心を閉ざしていたり、自暴自棄になっていたりするのは、そういう寂しさの裏返しだと思うし、構って欲しいという父親に対するサインなのかなと感じました」と、笑のヒロイン像について分析。
「私は人と関わるのが好きなタイプ」という茅野とはあまりにかけ離れたヒロインを演じるに当たっては「できるだけ心を荒ませてから収録に臨みました。スタジオに向かうまでの道のりで、ひとり心の中で悪態を付いていたら思った以上にふさぎ込んでしまって、音響監督さんから『怖すぎるよ』って言われたり(笑)」と、役作りの苦労の一端も覗かせた。
また本作はフル3DCGで製作されており、各キャラクターの芝居は専属のアクターによるモーションキャプチャーがベースとなっている。この点について茅野は「最初にいただいた映像にアクターさんの声が入っていて、それを芝居のヒントにしたところがあるので、アクターさんと2人で作り上げたキャラクターという感覚が強いです」と、かつてない経験だったことを告白。芝居についても「実写のように生っぽくリアル」な方向性になるなど、アクターとの二人三脚ならではという演技にも期待したい。
では4人のヒーローたちとの掛け合いについてはどうだったのだろうか。「バトルではカッコいいところを見せてくれるんですが、それ以外ではちょっと抜けているところがあったりして、そのギャップが可愛かったですね。特に関さん演じるガッチャマンのお芝居は本当に面白くて、笑っちゃって次のセリフが言えなくなったりもしました(笑)」。
「一見感情に乏しいキャシャーンも、よく見てると意外と子供っぽい動きをしていたり、細かいお芝居も見逃せなかったり」と、飾らないヒーローの素が魅力であることをアピール。さらに「敵キャラクターも個性派揃いなので、絶対にひとりは推しキャラができます」と太鼓判を押す。
一方、ヒーローたちが織りなすスタイリッシュなアクションシーンについては「ふだんあまりアクションに注目することがないのですが、もう目が離せませんでした。カメラワークが本当にカッコいいんです。男性のみならず、女性にとっても観どころだと思います」と大絶賛。まさにヒーローたちの面目躍如と言ったところ。
現代の渋谷を舞台に、女子高生と4人のヒーローが紡ぎ出す物語。それは同時に「笑の成長物語でもある」と茅野は言う。「笑は現代の若者の代表なんです。理由はさまざまですけど、ついつい無気力になってしまうことって誰にでもありますよね。そんな時、例えばガッチャマンは“ザ・昭和の漢”という感じで“自分だけ満足ならいいなんて考えはやめろ!”とか、暑苦しく説教してくるんです。最初こそ“ウザい”って思うんですけど、でもある時その言葉がグサッと刺さったりもするんですよね。笑に感情移入して観てもらえたら、きっと4人のヒーローからたくさんの勇気がもらえると思います」。
さらに、オールドファンに向けては「オリジナルを観て育った昭和のおじ様たちも絶対に楽しめると思います。最新の3DCG技術でさらにカッコ良く生まれ変わったタツノコヒーローたちを、ぜひ楽しんでください」とのこと。茅野の言葉を借りれば「世代や性別を問わず、誰にでもオススメできる」、まさにタツノコプロ55 周年に相応しい作品だと言えよう。TVアニメ「Infini-T Force」は、日本テレビ系にて放送中。TVシリーズをチェックして、2018年2月の劇場版に備えておこう。【取材・文/岡本大介】