ジム&ユアンがゲイカップルに!同性愛を扱った映画が受けている理由
3月13日(土)公開の『フィリップ、きみを愛してる!』は、男同士、つまり、ゲイのカップルを描いたピュアなラブストーリー。ジム・キャリー&ユアン・マクレガーのカップル演技が非常に光っている。
IQ169の天才詐欺師スティーヴンをテンポよく演じるジムは圧巻だし、青い目と金髪がチャームポイントの“永遠のお稚児さん”ことユアンが演じるフィリップのうぶな笑顔もかわいい。そんなふたりが刑務所で知り合い、運命の恋に落ちる。
近年、この映画以外にも、『ブロークバック・マウンテン』(05)や『ミルク』(08)など、ハリウッドの人気スターが主演したゲイを題材にした映画が注目を集めており、特にそのピュアな愛の描写が話題を呼んでいる。日本では欧米ほどゲイ・カルチャーが成熟していないせいか、メジャーな話題を独占するゲイ映画の流れはないが、こうした同性愛を扱った映画が受けている理由は何なのだろうか?
実は男同士の愛は、男女の恋を描くより社会的な障害が作りやすく、ドラマティックで、ピュアなラブストーリーを作りやすいのが一因だ。また、『ミルク』のガス・ヴァン・サント監督のように、自身がゲイの監督はエロティックな恋愛描写がうまく、その映像に独自の美意識が感じられるのも支持される要素の一つだろう。
『フィリップ、きみを愛してる!』はコメディー的な味付けなので、『ブロークバック〜』のように情熱的なラブシーンは見られない。しかしながら、フィリップを幸せにしたい一心で罪を重ねて懲役167年を言い渡される詐欺師スティーヴンと、彼の深い寵愛を受け入れるフィリップの、本気モードの熱い恋には思わず心を動かされる。この春、おすすめのキュートな純愛映画の1本だ。【映画評論家/大森さわこ】
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