ケータイ越しに悪魔祓いも!?1200年続く“秘儀”が映像で明らかに
悪魔に憑依され、突然、別人のような声でしゃべりだしたり、白目をむいて凶暴になったり、そんな少女を神父が救おうとする…。有名なホラー映画『エクソシスト』(74)の1シーンはもちろんフィクションだが、中世の時代から悪魔祓いの儀式は実際に行われ、現在も秘かに行われている。そんな禁断の儀式に潜入したのが『悪魔祓い、聖なる儀式』(11月18日公開)だ。
秘儀を頼って、人々はシチリア島を訪れる
舞台は『ゴッドファーザー』(72)のロケ地としても知られるイタリアのシチリア島。島で悪魔祓いを生業としているカタルド神父の教会には、島の外からも救いを求める多くの人々が駆け付ける。そんな彼らの前で神父が儀式を始めると、悪魔に憑依された人は突然奇声をあげ、お祓いでその場で倒れ込む人も。悪魔祓いの儀式は1200年も続いてきたカトリックの秘儀で、カメラが入ることを禁じてきた儀式の模様が初めて明かされる。
神父は教会だけでなく、依頼者の家を訪れ、部屋の中に大量に積み上げられた衣服を目にし、「この乱雑さは悪魔の仕業だ」と語って聖水をふりかけたり、携帯電話の向こうの依頼者に向かって、悪魔祓いを行ったりとユニークな一面も垣間見られる。
人々の心の拠りどころとしての悪魔祓い
よくない行ないはすべて悪魔の仕業と考えてしまいたい依頼者の願いを素直に受け止め、そんな人々の心の奥に潜む悪魔を祓う神父は、ささいな悩みも聞き入れてくれる心の支えであり、シチリアで暮らす人々の生活になくてはならない存在なのだろう。
第73回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ部門で最優秀作品賞に輝くなど、ドキュメンタリー作品としても高い評価を受けている本作。現代に生きる“悪魔祓い師=エクソシスト”の素顔が見られるという点でも非常に興味深い作品と言えるはずだ。
文/トライワークス
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