『カーズ』のキャラは声優と一心同体!?【ピクサー現地取材レポート3】
11月22日(水)にMovieNEXが発売されるディズニー/ピクサー最新作の『カーズ/クロスロード』。そのリリースに合わせて敢行したアメリカのピクサー・アニメーション・スタジオ取材のレポート第3弾は、同スタジオのキャラクター制作のさらなるこだわりを徹底調査。本作の制作現場でクリエイティブ作業を担当したキャラクター・スーパーバイザーのマイケル・コメット氏と、ディレクティング・アニメーターのジュード・ブラウンビル氏に話を聞いた。
「キャラクターを作る手順は、まずスケッチをしたうえで、模型となる彫刻を作ってからCGへ移行していく。そこから色やテクスチャーを決めペイントで仕上げていくんだ」と語るコメット氏。『カーズ/クロスロード』の新キャラクターであるストームとクルーズのデザインは、かなり試行錯誤の連続だったという。
「ジャクソン・ストームは次世代のクルマだから、すべてがマックィーンと正反対で対極なんだ。『デイトナ500』という有名なレースのマッスルカーのイメージを強調してデザインしたよ。ハードなエッジが強調されたボディライン、低い車高、宣伝のグラフィックもエレガントな形で入っているね。一方のクルーズは、まったく何もないところからキャラクターを1からデザインしたんだ。アメリカのマッスルカーとヨーロッパのレーシングカーをMIXさせたような造形を意識している。強い女性のキャラクター性を表現したかったんだ」。
そうやって誕生したキャラクターたちをアニメーションとして動かすのが、ディレクティング・アニメーターの仕事だ。その制作工程についてジュード・ブラウンビル氏は「キャラクターに命を吹き込むことが私たちの仕事」と自信満々に語る。
「キャラクターには大きく分けて3種類の動きがあるわ。1つは口や眉の動き、2つ目は走り方、3つ目はキャラクターとしての振る舞い。その中でも口の形には特にこだわったの。キャラクターの感情面をしっかりとアニメーションで描き、ビジュアル面はリアルな表現を目指したわ」。
そんな2人が共通して挙げたのが、キャラクターの声を務める声優陣の特徴を、ビジュアルやアニメーションに落とし込むということ。ブラウンビル氏曰く「声優が決定した時は、キャラクターについて考える素晴らしい機会になるわ。例えば、ミス・フリッターの声を務めたのはリー・デラリア。彼女にはとても強烈な個性があって、声が大きく、エネルギーに満ち溢れている。それがミス・フリッターの動きや所作などのアニメーションに大きく影響を与えたの」。
コメット氏もこう続ける。「それはデザイン面でも同じなんだ。リー・デラリアは、よく黒ぶちのメガネをかけている。だから、ミス・フリッターの目の周りのトリムを大きくて黒くしたんだ。『カーズ』のキャラクタービジュアルの中で、重要な要素は顔と目と口。これらはブライアン・フィー監督が作品に求めている個性でもあるから、担当声優の特徴は、デザインにできるだけ入れ込むようにしているよ。ひとつ例を挙げると、目の色がそう。マックィーン役のオーウェン・ウィルソンはブルーアイだからマックィーンの目も青。クルーズ役のクリステラ・アロンツォは茶色い目だからクルーズも同じにしたんだ」。
各キャラクターを演じる声優の見た目や性格をデザインやアニメーションに落とし込むというピクサーらしいこだわりが、より感情移入できるキャラクター作りの隠し味になっているのだ。
MovieNEXの特典には、ミス・フリッターの誕生秘話など制作の舞台裏がたっぷりと収録されているので、ぜひそちらもチェックしてみよう!
取材・文/Movie Walker
2017年11月22日(水)発売
『カーズ/クロスロード MovieNEX』/4,000円+税
『カーズ/クロスロード 4K UHD MovieNEX』/7,800円+税
『カーズ/クロスロード MovieNEX ギフトボックス』/9,000円+税
先行デジタル配信開始中