公開3週目で異例の戴冠!映画動員ランキングは“それ”に敵う作品なし?
新作や前週首位作品が1位を獲得することが多い映画動員ランキング。11月18・19日の同ランキングでは、その例にはまらず、公開3週目を迎えた『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』が土日2日間で動員14万4000人、興収1億9500万円をあげ、待望のトップに君臨した。
学生グループに人気のR15指定作品
全米でもホラー映画として初めて興収3億ドルを突破するなど社会現象と化し、鳴り物入りで日本公開された本作。そもそも洋画(ましてやR15+指定のホラー作品)は、若年層の集客は難しいとされているが、本作に限っては少々異様ともいえる(高校生以上の)学生グループやカップルの集客に成功。日本の観客の心もがっちりつかんだ。こうした学生の心を鷲掴みにするR15作品でのヒットは、あの『バトル・ロワイアル』(00)を彷彿させる。
また、同じスティーヴン・キング原作の名作『スタンド・バイ・ミー』(86)を思わせる良質なジュブナイル作品としての評価も上がっており、ただ怖いホラーとは異なる“作品の底力”が粘り強い興行を後押ししているようだ。先週も今週も、公開初週以上の成績をマークしただけに、まだまだ息の長い興行を見込めそう。
アニメ版『ゴジラ』は幅広いファン層を獲得
初登場3位には『ゴジラ』シリーズ初の長編アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』が、土日2日間で動員7万1200人、興収1億300万円をあげてランクイン。2048年、怪獣やゴジラとの戦いに敗れ、地球を脱出した人類。だが、移住先の惑星での生存が不可能だったため人類は地球に引き返すが、そこはすでに2万年の時が経過し、ゴジラを生態系の頂点とする“怪獣惑星”と化していた――。
このストーリーの原案と脚本を担当した虚淵玄は、物語を構築するうえで『シン・ゴジラ』(16)を意識する一方で、特撮のゴジラを観たことのない人にも興味を持ってもらえるようにしたそう。その狙い通り、“ゴジラ好き”にも“ゴジラ映画初体験”の人にも刺さったようで、全国159館と決して大きくない規模での公開でありながら、上々の滑り出しを見せた。
関ジャニ丸山、ソダーバーグ作品もランクイン
4位は、土日2日間で動員6万7000人、興収8900万円をあげた『泥棒役者』が初登場。本作は、06年に上演された同名の舞台作品を、西田征史監督が自ら映画用にリライトしたオリジナル作。関ジャニ∞の丸山隆平が映画単独初主演を務めただけに、若い女性層を中心とした観客が目立った。
13年に映画界から突如引退し、テレビ界で活躍していたスティーヴン・ソダーバーグ監督の復帰作『ローガン・ラッキー』は、9位スタート。監督との縁も深いチャニング・テイタムや、『スター・ウォーズ』新三部作でカイロ・レンを演じるアダム・ドライバー、『007』シリーズのダニエル・クレイグら豪華俳優陣が顔をそろえており、ソダーバーグ監督の代表作でもある『オーシャンズ11』シリーズを彷彿させる犯罪劇になっている。
なお、先週首位だった『HiGH&LOW THE MOVIE3/ FINAL MISSION』は2位にランクダウンも、土日2日間で動員11万人、興収1億4200万円をあげ、好調を維持した。
今週23日(木)は勤労感謝の日で祝日。同日には、バットマンやワンダーウーマンらDCコミックのヒーローが集結する『ジャスティス・リーグ』が公開。12年には、マーベル・コミックのヒーローが結集した『アベンジャーズ』が大ヒットスタートを切っただけに、こちらがどんな出足を見せるか注目したい。
文/トライワークス