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もしドラゴンがコスプレしたら?樋口真嗣×岡田麿里がファンタジーアニメを制作

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もしドラゴンがコスプレしたら?樋口真嗣×岡田麿里がファンタジーアニメを制作

『シン・ゴジラ』(16)の樋口真嗣監督が総監督を務めるTVアニメ―ション「ひそねとまそたん」(2018年放送予定)の制作が、12月3日、幕張メッセで開催の東京コミコンで発表された。同所のステージに樋口総監督、青木俊直(キャラクター原案)、コヤマシゲト(モンスターコンセプトデザイン)、南雅彦(プロデューサー)が登壇、“航空自衛隊が管理するドラゴンと新人搭乗員たちのお仕事ストーリー”という斬新な設定の同作誕生の経緯などを明かした。

(左から)コヤマシゲト、青木俊直、樋口真嗣総監督、南雅彦プロデューサー
(左から)コヤマシゲト、青木俊直、樋口真嗣総監督、南雅彦プロデューサー

“しっぽの生えた飛行機”が企画の始まり

本作は「交響詩篇エウレカセブン」の制作会社BONESのもと、樋口総監督と「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の脚本家・岡田麿里が練り上げた完全オリジナル作品。総監督によると「自分が着るわけじゃないけど“コスプレ”に興味を持ちだして(笑)。もし‟ドラゴン”がコスプしたらどうなのかな?と考えて」と発端を説明する。「『日本沈没』(06)の撮影で成田空港で一日中、飛行機を撮っていたら、近くで車の中で航空無線を聴いて、目当ての飛行機が来たら飛び出してパシャパシャ写真を撮って、車に戻ってを繰り返している人が何十人もいたんです。彼らを見ながら(フォルムが全く)違う飛行機、例えば“尻尾が生えた飛行機が来たらどう撮るんだろう?そんなことを考えていたのが始まり」という。

そこから「日本には昔から不老不死のドラゴンがいるんだけど、一週間に一度空を飛ばないと体温が上昇して死んじゃう。でも存在がばれるのは良いことではないので、どうやって隠す?と考えたとき、ドラゴンが戦闘機のコスプレをして空を飛ぶというのが脳内で思い浮かんで」という発想のプロセスがあった。

【写真を見る】新米自衛官のひそねと、ドラゴンのまそたん。新しいコンビの出会いを思わせるビジュアル
【写真を見る】新米自衛官のひそねと、ドラゴンのまそたん。新しいコンビの出会いを思わせるビジュアル[c]BONES・樋口真嗣・岡田麿里/「ひそねとまそたん」飛実団

岡田との共作は「(岡田と)脚本を練っていた別企画が流れて、『これでサヨナラなのも嫌だね』と今回の企画を持ちかけたら『いいじゃない』となり、アイデアのキャッチボール的なやり取りで内容を詰めました。ストーリーは岡田さんに引っ張ってもらい、アニメでの表現になったのも岡田さんの存在が大きい」と話す。

絵はどこまで行っても実写に置き換えられない

これまで庵野秀明監督の作品を手伝った経験を持つが、総監督としてアニメーションを手掛けるのは稀なこと。そこには「青木さん、コヤマさんの絵に惚れたのも大きくて。いつもなら俳優さんを使ったりCGで描いたりと思うけど、“この絵が動いたらすごいいいな”という思いが沸き上がたのと、この企画は手描きのアニメーションで表現したいと思ったんですよね。描いた絵ってどこまでいっても人間に置き換えられない」という思いも明かされた。

キャラクター原案の青木はFacebookでNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のイラストをアップし続けていたことでも知られ、総監督が「この人が描く絵で物語性を付けたら面白いんじゃないか?」と思いFacebookのメッセージで直々にオファー。「樋口さんの仕事はご存知でしたけど、面識はなかった」という青木は「突然Facebookにメッセージが届いて。『俺に何の用なんだ?』って思いながら(笑)打合せに行ったのが最初でした」と明かし、樋口も「ネットナンパです」と笑わせた。

ドラゴンを思わせる「ひそねとまそたん」シルエットビジュアル
ドラゴンを思わせる「ひそねとまそたん」シルエットビジュアル[c]BONES・樋口真嗣・岡田麿里/「ひそねとまそたん」飛実団

モンスターコンセプトデザインのコヤマは樋口との仕事経験もあり「樋口さんが部長を務める“肉部’での会合で『今度アニメ作るんで手伝って』と声をかけてもらって…ありがたいです」とのこと。‟肉部”とは「すき焼きを食べた後に焼肉を食べたり、肝臓に負担をかけるアスリート活動(笑)」とコヤマが補足。総監督は「オファーのために誘ったわけじゃないですよ(笑)」と付け加える。

「(総監督とは)‟酒部”で繋がっている」という南は「岡田さんから『一緒に仕事したい人がいる』というのでお会いしたら樋口さんで…。『知ってるわ!』という感じです(笑)」とユニークな繋がりを披露。総監督によると「南さんは庵野監督の同級生で、(島本和彦の漫画)『アオイホノオ』にも出ています」という。

現在、総監督の要望で、声優が声を充ててから作画する‟プレスコ方式で、制作が進められている「ひそねとまそたん」。発表の場が東京コミコンとあって、総監督からは「キャラクター商品展開はまだ全く考えていないので、声が届くかわからないけど、あそことか、あそことか、各メーカーさんに(グッズを)来年、再来年のコミコンに並べてほしい」と、商談(?)アピール。そして青木、コヤマらから「コスプレも見たいですね」「ぜひフィギュアを」とコメントを寄せる。いままでのアニメーションとは違うタッチ、ストーリーを期待できそうだ。

取材・文/トライワークス

<ストーリー>
甘粕ひそねは航空自衛隊岐阜基地勤務の新人。素直すぎて無意識で他人を傷つけるのに疲れ、任期限定の自衛官を選んだが、運命の出逢いが彼女の人生を根底から変える。基地に秘匿された戦闘機に擬態するドラゴンがひそねを選び、大空高く舞いあがったのだ。こうして“OTF(変態飛翔生体)”ドラゴンに乗り込む飛行要員がひそねの仕事になった。国家的な命運を左右するとも言われるドラゴンには、どんな秘密が隠されているのだろうか?

<スタッフ>
原作:BONES 樋口真嗣 岡田麿里 
総監督:樋口真嗣 監督:小林寛 シリーズ構成:岡田麿里
キャラクター原案:青木俊直 キャラクターデザイン:伊藤嘉之 
メインメカニックデザイン:河森正治 モンスターコンセプトデザイン:コヤマシゲト
コンセプトデザイン:okama 軍事考証:小柳啓伍 
美術デザイン:平澤晃弘 美術監督:金子雄司 色彩設計:小針裕子 
撮影監督:佐々木康太 3DCG監督:安東容太 編集:奥田浩史
音楽:岩崎太整 音響監督:山田陽 音響効果:野口透 アニメーション制作:BONES
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