ジム・キャリーが製作費を払ってでも出演したかった愛の実話って!?
ジム・キャリーがユアン・マクレガーと実在のゲイのカップル役を演じたことで話題の『フィリップ、きみを愛してる!』(3月13日公開)。演じたスティーヴンは、刑務所内でユアン演じるフィリップと運命の恋に落ち、詐欺や脱獄を繰り返していくという破天荒な役柄だ。ジムはこの役を熱望したというが、その理由とは?
ゲイ役について抵抗はなかったのか? 「別になかったよ。僕が意識したのは、すごく魅力的な人たちの物語を演じるということ。信じられないけれど、実際に起こった愛の実話だから。でも人は非情で、そのことに気付かないし、忘れてしまうんだ」。
この役を演じるに当たって周りの反対も少しはあったようだが、ジムはそれを押し切って演じたと言う。「確かに僕の周りで気にしてる者はいたよ。でも僕は、映画で見たことのないような役をやらないで、大きな反発を避け、自分の境界を少しも突き破らないで、一体何のために生きているんだろうって思ったんだ」。
本作は、彼にとって特別な映画となったようだ。「コメディー大作などは、脚本の中身がよければ、売り込みをかけて形にしていくことが多い。でも、ごくまれだけど、何も手を入れる必要がないと感じるいい脚本がある。『トゥルーマン・ショー』(98)、『エターナル・サンシャイン』(04)、この映画の3作についてはそう感じたよ。スタッフに電話して、『製作にお金を払ってでもいいから、この作品にどうしても出たい』と伝えたんだ」。
思い入れの強さは、役作りの真摯さを見ても伝わってくる。劇中で、スティーヴンは自分がエイズだと偽り、みんなをだますことに成功しているが、このくだりは、かなり壮絶だ。「スティーヴンはエイズの症状に詳しかったけど、実際彼が本当にだませたという事実がこの話のすごいところだ。エイズのプロセスを演じるのは、とても大変だったよ。すごく痩せなくてはならなかったから」。
実際、ジムもかなりダイエットをして、エイズらしく見える身体を作っていったと言う。「後半に撮影したんだけど、その時は死んでしまわないようにと、少しのトマトジュースとサプリメントを摂っていたぐらいだ。最も痩せていなければならないシーンを撮る最後の2日間は、水をちょっとなめるぐらいで。僕は完璧に消耗して、まるで老人のようになっていた。でも今は平気だよ!」。
愛のためなら、たとえ火の中水の中!というフィリップの真っすぐな生き様に惚れ込んだというジム・キャリー。ゲイのカップルを描いた物語でも、心に響く普遍的なラブストーリーとなっている本作は、いろんな人々の琴線を振るわせるに違いない。【Movie Walker/山崎伸子】