松坂桃李&斎藤工、パディントンは「癒し」とメロメロ!2018年の挑戦を語る
「一体、次はなにをやってくれるのか?」と常に楽しみをくれる実力派俳優、松坂桃李と斎藤工。映画『パディントン2』の日本語吹替版で初共演を果たした2人に、2018年の抱負や“思い出の味”を語ってもらった。
本作は、イギリスのロングセラー児童文学を実写映画化した『パディントン』の続編。前作でロンドンにやってきたクマのパディントン。相手を受け入れる寛容さを持ったパディントンが、周囲の人を巻き込んで大騒動を繰り広げる姿を描く。松坂がパディントン役を続投。斎藤が今作から登場するヒュー・グラント扮する落ちぶれた役者・ブキャナンの声を演じる。
ーーいつも一生懸命でキュートなクマのパディントン。パディントンを窮地に追い込む男、ブキャナン。それぞれ、役を演じる上で最も大事にしたことはどんなことですか?
松坂「声を高めにして、“ピュアさ”を大事に演じています。パディントンは疑うことを知らないんです。目の前のことに、純度100パーセントの気持ちで向き合っていく。何事も疑わないピュアさを素直に表現できるのは、とてもおもしろいこと。年齢を重ねていくと、初めての経験ってだんだん少なくなっていきますよね。パディントンを通すと初めての経験がたくさんできるので、僕自身、とても楽しいです」。
斎藤「落ちぶれたナルシストの俳優という役は、マインドとしてはほぼ自分です(笑)。僕はアフレコのお仕事というのは、オーケストラの楽器のようなものだと思っていますが、今回のブキャナンという役は“フットーワークの軽さ”が必要だと感じました。ヒュー・グラントを見ていると、とても楽しく演じていることがよくわかるんです。日本のベテラン俳優にも通じる、物事に動じない姿勢や、キャリアがあるからこその余白。それが彼の軽さになっているのではと考えました」。
ーーマーマレードが大好きなパディントン。お2人にとって、「これを食べると子どもの頃を思い出す」というような“思い出の味”はありますか?
松坂「僕はオムライスが大好きなんです。うちの祖母が作ってくれるオムライスが本当においししくて、おふくろの味というよりは、おばあちゃんの味。オムライスを食べると、いつも懐かしい気持ちになります」。
斎藤「僕はちょっと変わった小学校に通っていて、小学生の頃から家族でマクロビを取り入れていたんです。なので当時のおやつは、玄米パンと煮干し(笑)。玄米パンや煮干しもいまではなかなか食べる機会がないですが、食べるたびに子どもの頃を思い出します」。
ーー2018年の抱負を教えてください。松坂さんは今年、30代に突入されますが、『孤狼の血』『娼年』などチャレンジングな作品が続きます。
松坂「20代後半からは、いろいろな窓を開いて30代を迎えなければいけないと思い、あらゆる挑戦をしたいと思っていました。なのでいままでにやったことがないような作品や監督、共演者の方々とご一緒しようと思い、いまに至ります。“やったことがないもの”というのは、とてもワクワクするものなんです。これまでの出会いが、今後に大きく作用していくと思うので、窓を全開にして、やれることを精一杯やって、風通しをよくして30代を迎えたいです。そんななか、『パディントン』は僕にとっても“癒し”となる作品です。今後も続いてほしいなと思いますし、いつかテッドと共演してほしいですね。そうなると僕は、(テッドの日本語吹替えを演じる)有吉(弘行)さんと仕事ができますしね(笑)!」。
ーー斎藤さんもあらゆるチャレンジを続けています。
斎藤「2017年はマダガスカルやパラグアイ、被災地の熊本などに行き、映画を届ける活動をしてきました。また監督として作品(『blank13』)を公開していくこともあり、地方の映画館の現状を目にしたりなど、いままでとは違ったアングルで映画に触れられた一年でした。シンガポールでエリック・クー監督の映画『ラーメン・テー』に参加した際には、『blank13』をエリックに観てもらい、彼がそれを気に入ってくれて。HBOアジアというプラットフォームのホラードラマ企画に、監督として『やってみないか』と誘って下さったんです。ひとつの映画に向き合ったことで、新しい現場、作品が生まれるという、思いもよらぬ展開を見せました。俳優業だけでは見られなかった景色が確実にあるので、その流れはずっと止めたくないなと思っています。HBOドラマのために夜な夜なたくさんのホラーを見て勉強しているのですが、ツライですね。そんなとき、『パディントン』に触れるととてもうれしくなります(笑)」。
取材・文/成田 おり枝