来日中のソフィア・コッポラ、25年来の盟友がその素顔を明かす!
カンヌ国際映画祭で女性監督として史上2人目となる監督賞を受賞したソフィア・コッポラが最新作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(2月23日公開)をひっさげて来日。本作の公開に合わせて発売される、彼女の監督業20周年を記念したメモリアルフォトブックで撮影を手掛けたアンドリュー・ダーハムとともにトークイベントに登壇した。
TSUTAYA TOKYO ROPPONGIの一角で行われたこのイベント。周囲に並ぶDVDを眺めながら「アメリカにもこういうお店があったらいいのに」と感慨深げに呟くソフィアとダーハムは25年来の友人。互いの印象や思い出話に花を咲かせながら、映画作家としてのソフィアについて語り合った。
今回発売されるメモリアルフォトブック「Andrew Durham Set Pictures Behind the Scene with Sofia Coppola」では、ソフィアの映画撮影の現場の舞台裏が収められている。「現場で写真を撮ってくれないかと頼まれたんだ。それまで旅行やパーティで撮っていたスナップショットと変わらない感じで、楽しいから撮り続けてきたんだ」と振り返ったダーハム。
現場付きのスチールカメラマンが撮る写真とはまた違う、現場の雰囲気を映しだした写真にソフィアは「出来上がった本を見ると、いろんな思い出が蘇ってくる写真ばかり」と絶賛。するとダーハムは「映画の現場を覗き見しているような感触だね」と笑顔を見せた。
互いの印象について訊かれたソフィアは、ダーハムについて「とてもクリエイティブですばらしい目を持っている人」と形容。これまでの撮影現場でのエピソードを織り交ぜながら「ほかの人が気づかないディテールをカメラに収めてくれるだけでなく、フレンドリーな人柄で被写体と親密な距離感を持った写真を撮ってくれるところがすばらしい」と語る。
一方でダーハムも「彼女のような才能ある方と友情を築くことができてとても幸運だ」とにこやかに語る。「18歳のときから見守ってきたが、感受性や美的感覚は一切ブレておらず、絶対に作品作りで妥協しない。そういった部分に感銘を受けている」と互いに敬意を持った関係性を垣間見せた。
最新作でソフィアは、これまでの作風を活かしながらスリラー映画というジャンルに初挑戦。「自分のスタイルをちゃんと入れることができるかが大きな課題だったが、出来上がった作品を観ると、しっかりと自分の作品だと思えた。そしてチャレンジしたことのないストーリーテリングもできたと自負している」とカンヌで認められた作品の出来栄えに強い自信を窺わせた。
また、彼女の作品の持ち味である衣装やヘアスタイリングについても「当時の時代背景を忠実に守りながら、現代の観客に共感してもらえるような魅力的なものにしたいと思って選んだ。とても素晴らしい仕事をしてもらいました」と、これまで何度もタッグを組んでいる衣装デザイナーのステイシー・バタットらスタッフ陣を称えた。
取材・文/久保田和馬