『IT』のペニーワイズの存在も見え隠れ?S・キングの作品をつなぐ『ダークタワー』の秘密に迫る
昨年『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)が世界的に大ヒットし、新たな黄金期を迎えつつある、小説家スティーヴン・キング。これまでにも原作者として数多くのヒット映画を生み出してきた彼の、最新作『ダークタワー』が1月27日(土)に公開された。現実世界と異世界を舞台に、世界の調和をつかさどる“暗黒の塔”を巡る善と悪の攻防が描かれており、作中には他のキング作品を想起させる興味深いシーンが登場する。
キング作品の集大成を実力派俳優を迎えて映画化
本作は、キングが30年以上を費やして完結させた、全7部からなる彼の集大成とも言うべき連作小説の映画版。主演は『007』シリーズの新ボンド候補としても注目を集める『パシフィック・リム』(13)『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17)のイドリス・エルバと、『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)でオスカーを獲得したマシュー・マコノヒーの2人。エルバ演じる塔の守護者と、マコノヒー扮する世界に混沌をもたらす黒衣の男による、銃と魔術を交えたバトルシーンが大きな見どころで、キング作品としては珍しく、激しいアクションが満載だ。
あの“恐怖のピエロ”や“戦慄のホテル”も登場!?
劇中にはホラー界の第一人者であるキングらしいギクリとする場面も。物語の中盤、異世界に迷い込んだ少年が不気味な遊園地にたどり着く。すると、そこで目に飛び込んでくるのは「ペニーワイズ」と大きく書かれた看板。これは、『IT』で子どもたちを恐怖に陥れたあのピエロの名前だ。野ざらしになった空中ブランコや傾いた観覧車など、朽ち果てた遊園地内からいまにも“あいつ”が飛びだしてきそう!それだけでなく、ある場面では、何気なく飾られた写真立てに、『シャイニング』(80)の惨劇の舞台となったホテルが映っていたりする。
キング本人も「『ダークタワー』がいつの間にか、僕が書く架空世界の軸となっていたんだ。僕の他作品のキャラクターが『ダークタワー』に登場することもあるし、その逆もあるんだよ」と、本作が彼の作品世界を結び付けるものと言及。「ペニーワイズは、本作の異世界の住人?」などと妄想を膨らませてみてもおもしろそうだ。
1989年に製作された『ペット・セメタリー』のリメイク作が2019年4月に全米公開を控え、同年の9月には『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の続編も待機しているなど、まだまだキング原作の映画は続く。まずは、キング作品のユニバース化(!?)ともいえる『ダークタワー』をチェックして、新たな視点でキングの世界を味わってみたい。
文/トライワークス