宝田明が“日劇”最後の『ゴジラ』上映に感涙!「こんなにもあたたかい拍手を終生忘れることはできません」

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宝田明が“日劇”最後の『ゴジラ』上映に感涙!「こんなにもあたたかい拍手を終生忘れることはできません」

「ゴジラ」シリーズの聖地として、これまでシリーズ作品のほとんどが封切られて来た“日劇”が、その長い歴史に幕を下ろす。その閉館日となった4日、シリーズの記念すべき第1作『ゴジラ』(54)の上映が行われ、俳優の宝田明が登壇。歴史的作品の裏側を語った。

超満員の観客から大きな拍手で迎えられた宝田は「84歳になる宝田明を泣かせないでください。こんなにあたたかい拍手を終生忘れることはできません」と、涙を拭い、感極まった表情で語り始める。そして、実は客席で上映を観ていたことを明かし「初めて観たときも、ゴジラがあまりにも可哀想で泣いていました。いま、ちょうどエンドマークが終わる頃にも涙が止まりませんでした」と、本作への強い想いをあらわにした。

そして宝田は「東宝に入社した3本目の映画で主演ができると、天にも上るような気持ちで台本を受け取りに行くと、真っ赤な台本に黒い字で『ゴジラ』と書かれていました」と60年以上前のゴジラとの出会いを振り返った。「『ゴジラとはなんですか?』と訊くと『ゴリラとクジラを足して二で割ったんだ』と言われ、ヒットをすればシリーズ化していくという展望も言われました」とも明かした。

さらに「今日タイトルクレジットを拝見いたしましたが、みなさん遠いところに行かれた方ばかりで、生き残っているのは私1人ぐらい」と志村喬ら共演した名優たちに思いを馳せ、またしても涙ぐむ一幕も。そんな中でも宝田は大勢のファンを楽しませようと、ゴジラの大きさがまだ定かではなかった撮影時の苦労を語るなどして会場中を笑顔にさせた。

『ゴジラ』の公開から64年が経ち、今や世界に誇る日本映画となったこのシリーズ。いまだに海外で行われるイベントに招かれるという宝田は、ギャレス・エドワーズ監督がメガホンをとったアメリカ版『GODZILLA ゴジラ』(14)にオファーされた際のエピソードを披露。

「出演することになったら『トップシークレットでお願いします』と言われた。実は、日本の税関の管理官の役をやるという話で、勇んで撮影の行われたバンクーバーへ行ったんです。そしたら監督からいきなりサインを求められました」と、その影響力の強さを感じさせるエピソードを語った。

ところが「結局封切りの1ヶ月前になって、ご丁寧に手紙が来て『尺が長すぎてカットになった』と言われました」とその話にしっかりとオチを付けて会場は大爆笑に包むと、さらに駄目押しのように「その後、渡辺謙に会ったので『お前のシーン1分か2分切ってもらえ』と言っておきました」と笑顔で語り、拍手喝采が贈られた。

最後に宝田は、会場のファンに向けて「みなさんの声で『もう一回日本でゴジラをやってくれ。そして宝田明をもう一回出してくれ』と言ってください」と笑いを取り「次に日本でできたら、私はセリフは一切要りません。唯一ゴジラとアイコンタクトのできる人間として『日本はもう立ち直ったから大丈夫』と伝えたい」とコメント。また「日本の政治家全員に54年版の『ゴジラ』を観てもらって平和への誓いを立ててもらいたい」と願った。 

取材・文/久保田和馬

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