二階堂ふみ&吉沢亮、傷つきやすかった10代を振り返る|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
二階堂ふみ&吉沢亮、傷つきやすかった10代を振り返る

インタビュー

二階堂ふみ&吉沢亮、傷つきやすかった10代を振り返る

岡崎京子の同名コミックを映画化した『リバーズ・エッジ』(2月16日公開)で主演を務めた二階堂ふみと共演の吉沢亮にインタビュー。バブル崩壊後まもない90年代の若者たちが抱く欲望や焦燥、孤独を、21世紀のいまを生きる二階堂たちがどのように受け止め、咀嚼し、体現したのか? 2人に10代当時を振り返ってもらいつつ、本作に懸ける思いを聞いた。

女子高生ハルナ(二階堂ふみ)といじめられっ子の同級生・山田(吉沢亮)、摂食障害のモデル・こずえ(SUMIRE)が、河原で発見した死体という秘密を共有することで、歪んだ友情が結ばれていく。

16歳の時に原作を読んだ二階堂は、その内容にとてもシンパシーを感じたと言う。「自分が日常で感じているものや感情がそのまま作品の中にあったので、これはすごい漫画だなと思いましたし、ものすごい衝撃を受けました」。

二階堂は本作の映画化を切望する一方で、プレッシャーも感じていたそうだ。「岡崎さんに対する思いというか、この作品を裏切ってはいけないという気持ちがありました。私たちより若い世代や同世代の人たちが何かを感じていただけるような作品になるといいなと思います」。

吉沢は、原作と脚本の両方を読み「すごく面白いし、余白が多く文学的な作品」という印象をもった。

「画のインパクトがとてつもない。独特のタッチから来ている禍々しさがあり、それを実写でどう映すのかという点にとても興味が湧きました。実際に演じてみたら、すごく難しかったです。山田という人間の芯の部分と、周りが抱いている山田の印象とのギャップなどを考えたらキリがないくらい深い役で。現場に入る前も、入ってからもずっと考えていましたが、正解がわからないまま終わったという感じです」。

二階堂はハルナ役を演じるにあたり、10代だった頃の自分と向き合っていった。「15~18歳くらいまでの時期はものすごく多感で、何かを発見し、自分の感情にも気づく年頃でもあると思います。私はもう仕事をしていて、仕事の現場が非日常だったので、朝から夕方まで、学校に行っている時間はものすごく退屈に感じていて、生きていることをないがしろにしているところがありました。

でも、大人になると感覚がどんどん鈍くなっていったりするのかなと思います。傷ついてもかさぶたができて肌が強化されていき、だんだん傷つかなくなったり。でも、10代の頃は傷つきやすくて、繊細だけど何も感じないというか。きっとハルナの感情と近かったのかなと、いまだからこそ思えます」。

現在24歳となった吉沢も10代の頃の自分について「あの頃の方が、気持ち悪いことやネガティブなことを考えていた気がします」と告白。

「それこそ性のこととか、いろんなことをもっと考えていたし、想像がもっといろんな方向に膨らんでいたような気がします。でも、仕事をしたり、様々な経験をすることで、心の高ぶりみたいなものは減っていったのかなと。そういう部分は理解できたので、山田役は難しかったけど、いろいろと客観的に見ることもできました。僕はこの歳で演じられたことが良かったのかなと思います」。

現在23歳の二階堂も22歳でハルナを演じたことは結果的に良かったと捉えているようだ。

「撮影当時22歳で、10代からほんの数年しか経っていないのに、自分のことをかなり客観的に見られるようになっていたので、果たしてハルナ役をできるんだろうかという焦りはありました。でも、やってみたら、ちょっと距離を置くことで振り返ることができたんです。あの頃だったらわからずにやっていたことを、ある程度理解してやることができたので、終わってからはいまの年齢で演じられて良かったなと思いました」。

『オオカミ少女と黒王子』(16)でも共演した2人。二階堂は吉沢について「天才っているんだなと。女の子じゃなくて良かったと思いました。底が見えないというか、底がない。どこまでもできちゃう人だと思います」。

吉沢は「そんなことはないです」と謙遜し「バカなのでそこまで考えずにやっているからそう見えるのかもしれない」と苦笑い。吉沢は二階堂について、『オオカミ少女と黒王子』の時と印象はほとんど変わっていないと言う。

「めちゃめちゃお芝居が上手いですし、それだけではなく、役としていさせてくれるんです。2人で一緒にお芝居をすると、勝手に自分が役になれているなと思う瞬間があるというか。すごく引っ張ってもらっているなと思う瞬間がその頃からすごくありましたが、今回もそうでした」。

本作のキャッチコピーは「平坦な戦場で、ぼくらが生き延びること」。行定監督の下で2人が紡ぎ上げた本作を、劇場でご覧いただきたい。

取材・文/山崎 伸子

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