香取慎吾「歌いたい」とホンネ吐露!主演映画で“歌を喰われた”本人役
稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾らが出演する4つの短編で構成されたオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』(4月6日公開)。香取が主演する『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』では、香取が“歌えなくなったアーティスト”として本人役を演じるとのこと。一体、どんな物語が展開するのか気になって仕方がない。本作の一端を探るべく、撮影現場に潜入。“慎吾の部屋”と名付けられたセットで目にしたのは、自らの描いた絵に囲まれて「この役はほぼ僕」とリラックスした笑顔を見せる香取だ。脚本の印象をはじめ「歌というのは僕にとって、ついてまわるもの」「歌いたい」と歌に対する本音までを語ってくれた。
山内ケンジが監督・脚本を務める『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』は、歌を食べて生きる少女“歌喰い”(中島セナ)と、彼女に歌を食べられたアーティスト・香取慎吾の不思議な関係をつづる物語。主な舞台となるのは、“慎吾の部屋”。足を踏み入れるや、所狭しと飾られた大小さまざまな絵に圧倒される。これはすべて、画家としても活躍する香取が描いたもの。
香取は「香取慎吾役なので。とても楽です」とニッコリ。「個展もやったことがないので、いつもとは違う場所に自分の絵が集まっているのを見て『絵を描きたい!』と刺激も受けて。新たな経験をしています」と温かみに満ちた“自分の部屋”で、創作意欲を刺激された様子。「公開日がどんどん近づいていて。応援してくださるみなさんから『撮影しているんですよね?』と聞かれても、なかなか撮影が始まらない(笑)。先日、インスタで『始まった』と報告できてすごくうれしかった」と声を弾ませるなど、なによりも“待ってくれている人”の存在が彼の励みとなっているようだ。
本作では、「SMAPXSMAP」でオンエアされたショートフィルム「Smap Short Films」の一編で、香取が主演した『SICK』でも監督を務めた山内との再タッグが実現。香取はその際も本人役を演じており「17年ぶりに山内監督とご一緒させていただきました。山内監督が撮るということで、『香取慎吾役だ』と聞いても『ええ!?』とはならなかったです」と再会を喜びつつ、楽しそうな笑顔を見せる。
気になるのは、香取本人を主人公にどのようなストーリーが展開するのか、だ。脚本作りにおいては、山内監督は「“歌喰い”という女の子に歌を食べられてしまう青年のお話。ファンタジーだけれど、あまりにファンタジー色が強くなってしまうとおもしろくなくなってしまう。シュールなストーリーとリアルな部分をどう混ぜていくかを考えた」とポイントを語る。
脚本を読んだ香取は「この役は、ほぼ僕」とリアルを感じることができたそう。「以前、三谷(幸喜)さんのミュージカル(『TALK LIKE SINGING』)で、歌しか歌えなくなった男を演じたことがあって。歌や音楽というのは、僕についてまわるものなのかなという気がしています」と思いをめぐらせつつ、「最近、歌っていないなぁ」とこぼす。AbemaTVで放送された「72時間ホンネテレビ」での72曲メドレーライブも話題となったが「半分、意識がないなか歌っていました(笑)。気持ちよく歌い上げるというより、必死でしたね」と打ち明ける。
「歌いたいという気持ちはある?」と聞いてみると「あります、あります。歌いたいなって」とキッパリ。“歌を食べられてしまう”という役柄にも共感できたようで「同じような感覚はあったんです。『しばらく音楽を聴いていないな』と思う時期もあって。僕のなかでは、絵と音楽って同じ感覚なんです。気づかないうちに、自分の心情が映し出されているもの。『気分がいいから音楽を聴こう』ではなく、ヘッドホンを出して音楽を聴いたりしていると『いますごく調子がいいんだ』と気づく」と絵と音楽は、香取の心と深くつながっているものだという。ここ最近は音楽を聴いてリラックスする時間も持てているそうで、「ぼくのりりっくのぼうよみ」がお気に入りだとか。
本作では、長年ともに活動してきた仲間である稲垣&草なぎとともに映画を世に送り出す。「台本を読んだんですが、それぞれが全然違うんです。2人の作品はものすごくストイックな印象。これを短期間で仕上げるとなると、2人ともグッタリとなるだろうな」と仲間を思いやり、「全部が合わさったとき、ものすごくいい1本になると思う」と自信をのぞかせた香取慎吾。一体、歌を食べられた男がどのような結末を迎えるのか。「もっとこの世界にいたいのに、あっという間にクランクアップしちゃうんです!」とニコニコと明るい笑顔にあふれた彼を見て、映画の完成がますます楽しみになった。
取材・文/成田 おり枝