ジャド・アパトー&クメイル・ナンジアニが語り合う!奇跡の実話『ビッグ・シック』誕生の裏話
全米でわずか5スクリーンで公開されながら、口コミにより2600スクリーンにまで拡大する大ヒットを記録した『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(2月23日公開)。パキスタン出身のコメディアン、クメイル・ナンジアニが“異文化結婚”の前に立ちはだかる様々なトラブルを愛と笑いで乗り越えた実話を、彼自身が脚本を執筆し主演を務めたことでも話題の本作。
厳格なイスラム教徒の家庭に育ったコメディアンのクメイルは、あるとき大学院生のエミリーと知り合い惹かれ合う。しかしパキスタン出身の花嫁しか認めない母親から、何度もお見合いを強要されるクメイル。ついにエミリーにバレて、2人は破局を迎えてしまう。そんな矢先、エミリーは原因不明の病に倒れ、昏睡状態に陥ってしまうのだ。
そんな本作からナンジアニと、本作の製作総指揮を務めたジャド・アパトーの貴重なツーショットインタビュー映像が到着。脚本を執筆する過程の裏話や、こだわりなどが語られ、さらにアパトーがナンジアニと組んだきっかけとして「もともと彼がスタンダップ・コメディアンだった頃からのファンだった」と明かすなど、2人の厚い信頼関係が感じられるやり取りが繰り広げられている。
アパトーといえば『40歳の童貞男』(05)で監督と脚本を務めて脚光を浴び、プロデューサーとしても『はじまりのうた』(13)などの人気作を数多く生み出した手腕の持ち主。彼自身もエディ・マーフィのスタンダップ・コメディを見て同じ道を志した経歴の持ち主だけに、ナンジアニと通じる部分は多いようだ。
そんなアパトーはナンジアニから、舞台でヤジを飛ばした女性と結婚に至るまでの長い道のりを聞かされたときのことを振り返り「途方もない話だと思った。昏睡状態の人間に恋するなんて聞いたことがない」と語る。
そして彼に脚本の執筆を勧めたことでスタートした本作は、昨年のサンダンス映画祭で北米配給権をめぐる争奪戦が起こるほどの話題をさらい、世界中の映画賞を席巻。そして映画界の頂点でもあるアカデミー賞にノミネートされ、また新たな奇跡を生みだそうとしている。
人種問題や宗教観を描き、それらを超越する普遍的な愛の物語ですべてを包み込んでいく奇跡の実話。トランプ政権など世界各地で人種差別が大きく取りざたされている今だからこそ注目したい一本だ。
文/久保田和馬