M・デイモンとB・アフレックの製作会社も「インクルージョン・ライダー」を適用!
今年のアカデミー賞授賞式で、主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドのスピーチで話題になった「インクルージョン・ライダー」。もともと「ライダー」とは、主に俳優が、映画やテレビの出演契約を結ぶ際に加える付帯条項のこと。この付帯条項には独自のニーズに応じたユニークな内容を加える事ができるとあって、「インクルージョン・ライダー」は、職場に人種の多様性と性別間の平等さを要求する付帯条項だ。
マット・デイモンとベン・アフレックも、自らの製作会社のパール・ストリートで「インクルージョン・ライダー」を実行するそうだ。これは同制作会社と関わりがある女優ファンシェン・コックス・ディジョバンニが「今後パール・ストリートが製作する作品全てに、インクルージョン・ライダーを適用することを、会社を代表して表明します」とツイッターに書いた事で明らかになった。
ベン・アフレックとマット・デイモンは、ハリウッドのセクハラ騒動の核となったハーヴェイ・ワインスタインとも長年関わりがあり、例として、彼らのブレイクのきっかけとなった映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)もワインスタインの会社が製作、配給を行った。中にはベンとマットはワインスタインの悪行を知りながらも黙視してきた共犯者だとバッシングする声すらあった。
フランシス・マクドーマンドがオスカーの舞台で俳優の仲間達に訴えた通り、マット・デイモンやベン・アフレックといった成功した者が筆頭としてこの動きを支持する事で、今まで発言することが出来なかった弱い立場のアーティストを守ることができる。
『ブラックパンサー』のマイケル・B・ジョーダンも、自身の製作会社で「インクルージョン・ライダー」を適用する事を発表している。しかし「インクルージョン・ライダー」が広まるにつれ、今後具体的にどのような変化がもたらされるかは明確ではない。ハリウッドの労働環境だけでなく、作品の内容まで影響があるかどうかは、今後の経過とともに注目していきたい。
LA在住/小池かおる