Kalafinaの3人が出逢う前の想いから濃密なステージまで…10年の歩みを映画で振り返る
「空の境界」「魔法少女まどか☆マギカ」「Fate/stay night」などの人気アニメ、NHKの「みんなのうた」や「歴史秘話ヒストリア」で楽曲が起用され、一糸乱れぬ美しいハーモニーと圧倒的な歌声が幅広い年代を魅了するヴォーカルユニットKalafina(カラフィナ)。デビュー10周年記念日でもある2018年1月23日に催した「Kalafina 10th Anniversary LIVE 2018」の模様も収めた3人の初ドキュメンタリー『Kalafina 10th Anniversary Film ~夢が紡ぐ輝きのハーモニー~』が3月30日(金)より上映される。公開に先立ち、メンバーのWakana、Keiko、Hikaruに話を聞いた。
10周年を迎えて、そして初のドキュメンタリー映画
まずはユニット結成10周年を迎えた感想から話を伺う。
Wakana「デビュー当時は10年も3人で歌い続けられるなんて思ってもいませんでした。なので17年に9周年を迎えた時、今まで目指していた10年という節目にもうすぐ手が届く…と気が引きしまる思いでした。そして10周年を迎えた日は、少し特別な日にしたくて。もちろんライブ当日でしたので特別なんですけど、朝、起きた時の自分がいつもと同じだったので『おめでとう』って、鏡に向かって言いました(笑)。それから『今日は10周年なんだ』って噛みしめながら会場に向かったことが、とても印象に残っています」
Keiko「5周年の時から、アニバーサリーライブの度にお客様やスタッフの皆さんに『おめでとう』と言ってもらえるようになり、アニバーサリーをすごく意識するようになりました。そこから一年一年積み重ね、8周年くらいに『10周年を目指していきたい』という目標が明確になったのを覚えています。そこからは『自分たちがどんな10周年のステージを迎えたいか』と心に問いかけ、ステージでお客様とどれだけ歩んでこれたかを感じられるか、それを一番に考えたいと思いました。昨年からずっと10周年に向け活動でき、私たちの活動には、お客様と、いろいな作品から生まれた曲が支え続けてくれたという感謝の思いでいっぱいです」
Hikaru「毎日“吸収することばかり”の10年でした。Kalafinaとして歌うために生きてきたので、あっという間でした。振り返ると、本当にいろんな出会いがあって、いろんな学びがあったと思える濃い10年だったと思います」
初のドキュメンタリー映画を撮影すると聞いた時の気持ちは?
Wakana「最初はずっとカメラに撮られるのは緊張するんじゃないかなって、みんなで心配したんです。けれども、それよりも私たち自身を客観的にみることができることにすごく興味が湧きました。自分の気付いていないこと、メンバーの知らない表情も見ることできるのならおもしろそうって思いました」
Keiko「最初は半年間ぐらいの密着撮影があると言われたんです。それまで海外などでも少しだけ近くで撮影していただいた機会はあったのですが、その際にライブのリハーサル前後、本番前後といった気持ちが張り詰めている時に感じた、カメラの存在がすごく苦手に感じた思い出があり、今回の撮影の際、カメラを意識した言動を取ってしまったらどうしよう?と不安はありましたね」
Hikaru「『映画ですか!』と驚きました(笑)。私たちが映画館の大スクリーンにアップで映ったらどうなっちゃうんだろうって(笑)、すごく緊張しました」
3人が出逢う以前、一人一人のルーツにも迫る
映画ではHikaruの出身地・富山県でのライブの模様も収めされたそう。
Hikaru「私、ライブで泣くことって本当にないんですけど、あの日は自分の思い出の場所を巡る撮影をした後のライブだったので昔の思いも相まって、ちょっと涙してしまって。恥ずかしいと思う面もありますけど、そういうレアなショットを10周年記念のフィルムに収められたのはよかったのかな、と思うことにしました(笑)」
彼女のコメントからもわかるように、今作は3人の素顔のほか、歌手を目指した原点などにも触れられている。
Keiko「監督が全体の構成をお話ししてくださった時『Kalafinaさんのハーモニーの秘密を探りたい』とふわっとおっしゃられて。『ん?どういうことだろう?』と思ったんですけど『それぞれがヴォーカリストとして夢を目指していた頃の様子も少し紐解いてみたい』『それぞれのルーツがあるからこそ、Kalafinaというユニットは、コーラスワークを奏でるのと同時に、一人のヴォーカリストとしてもきちんと立っている。その秘密っていうのは、きっとメンバーの子供時代にあるんじゃないかな』と静かにお話してくださったんです。それで夢を目指していた、3人が出逢う前の部分を描いて頂きました」
私たちの作品で、映画館ならではの映像体験を
本作は3月29日(木)オープンの「TOHOシネマズ 日比谷」にて特別先行上映、翌日に初日舞台挨拶の開催が行われる。
Wakana「今まで、主題歌を担当した作品で舞台挨拶をさせて頂いたことはあるのですが、今回は自分たちの出演作品なので、すごく緊張します。当日はぜひ、お客様に目いっぱい楽しんで頂けるように私たちも気持ちを盛り上げたいと思うんですけど、TOHOシネマズ 日比谷へは私たちもその日に初めて訪れるので、とても楽しみですし、こけら落としという一生に一度というくらいの有りがたい機会を頂けて、自分たちも観客の一人としてすごく楽しみにしています」
Keiko「ステージに上がって歌わない、という機会がなかなかないことで違和感を覚えるというか、申し訳ない気持ちになります(笑)。何か歌いながら去って行った方がいいのかなって(笑)。それくらい慣れない形ではあるのですけども、上映前にご挨拶させて頂くので、皆さんにワクワクしてもらえるように登場したいですね。私たちも一緒に楽しめたら、と思っているのですが、もう今から楽しみです」
Hikaru「昨年くらいから『映画館で映画を観よう!』って思い立ち、毎月1本は映画館で映画を観るようにしているんです。映画はもともと好きで、DVDでもよく観ていたんですけど、やはり映画館でないと味わえないものがあるんですよね。音の迫力や、大スクリーンで観るからこその映画の面白さを体感中なので、皆さんにもぜひ体感してもらいたいです。最新鋭の設備で最高の映画体験が味わえるTOHOシネマズ 日比谷での上映なので、皆さんに来場願えることを楽しみにしています」
最後に、あらためてファンへメッセージをもらった。
Wakana「初めてご覧になる私たちの姿もあるかもしれないですし、いつもご覧いただくライブの姿もあると思います。でも、その中で私たち自身が、すごく新鮮に観ることができた映画だったので、皆さんにとっても『これが今のKalafinaなんだ』って思っていただけたらな、と思います。私たちの10年間が、この半年間に凝縮されたかのような映画なので、私たちの『ROAD TO 武道館』という感じで、武道館までの日々をぜひ目に焼き付けていただきたいです」
Keiko「半年ほどの密着だったのですが、その間でKalafinaのオンの顔と、ちょっとオフな顔やいろんな表情を撮っていただきました。3人とも、取り繕うことなく、割と素の状態で、普段Kalafinaとして活動してきた顔がフィルムに収まっているので、どのように受け取っていただけるのか楽しみです」
Hikaru「2週間限定上映なので、速攻チェックしていただいて(笑)、お近くの映画館にぜひぜひ足を運んでいただき、劇場でご覧いただけたらなと思います!」
彼女たちのユニットとしての歩みや素顔に触れることができる本作。「Kalafina 10th Anniversary Live」に足を運ぶことができなかったファンならずとも、映画館の音響システムでその素晴らしいコーラスワークを味わって欲しい。
取材・文/トライワークス