黒沢清の新たな挑戦!オールウズベキスタンロケの最新作『世界の果てまで(仮)』の製作が決定
『散歩する侵略者』(17)で第41回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した黒沢清監督の最新作が、日本とウズベキスタンの国交樹立25周年とナボイ劇場完成70周年を記念した国際共同製作作品『世界の果てまで(仮)』になることが明らかになった。
ウズベキスタンは中央アジアに位置する旧ソビエト連邦の共和国。日本の1.2倍の国土に3190万人が暮らすこの国はシルクロードの中心地として栄え、城壁に囲まれた旧市街地ヒヴァや東西の文化が交わる青の都・サマルカンドなど、中央アジアを代表する美しい国として知られ、1992年1月26日に日本と正式に国交を樹立。
また1947年10月に完成したナボイ劇場は、首都・タシケントにあるアレクセイ・シューケフ設計の大劇場。第二次世界大戦中にソ連軍によって強制移送された大勢の日本人が建設に携わり、1996年には彼らの功績を称えた石碑が設置された。
この日本との関わりも深いこの国に「昔から強く魅了されていました」と明かす黒沢は、本作を監督するにあたり「きっとこれまでのどれにも似てない映画になるでしょう。いくつかの夢が同時に叶ったような思いです」と万感の思いを語った。
フランスで監督した『ダゲレオタイプの女』(15)以来となる完全オリジナル脚本で黒沢が本作で描くのは、日本のテレビバラエティ番組のクルーとともに取材のためにウズベキスタンを訪れた女性タレントが、現地のコーディネーターや異文化の人々との交流によって新しい世界が開かれ、成長していく姿。
「何の予備知識も持たないひとりの若い日本人女性。唯一のとりえは並外れた用心深さです。異文化を警戒し拒絶し続ける彼女がこの国を理解することができるのか。また、この国の人たちも彼女を認めてくれるのか。今回の映画が扱うテーマはそれです」と語った黒沢。
新たな“世界のクロサワ”として注目される彼の様々な思いが込められた本作は、駐日ウズベキスタン大使館やウズベキスタン政府国家観光発展委員会、そして国営映画会社ウズベクキノなどの全面協力のもと、オールウズベキスタンロケで撮影される。そして年内の完成、2019年の公開が予定されている。続報に期待したい。
文/久保田 和馬