イタリア人が思い描く日本ってどんなところ? 〜ファー・イースト映画祭初日レポート

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イタリア人が思い描く日本ってどんなところ? 〜ファー・イースト映画祭初日レポート

4月23日(金)、ファー・イースト映画祭が開幕し、オープニングセレモニーが行われた。現地から初日のレポートをお届けしよう。

まずは、ファー・イースト映画祭について。カンヌ国際映画祭やアカデミー賞、またヴェネチア国際映画祭など有名な映画祭は、これから劇場で公開予定の作品を上映し、その中でも優れた作品に賞を与えるものだ。一方、このファー・イースト映画祭の趣旨は少し違っている。それは映画祭を通して、普段あまり目にすることのない東洋の作品を上映することで、その作品や文化に触れる機会を作ろう、というものである。

ファー・イースト映画祭で上映されるほとんどの映画は、自国内でのみ公開される人気作品だ。普段、目にすることのないそれらアジアの人気作品を、イタリア語字幕付きで鑑賞できるこの機会を多くのアジア映画ファンが待ちわびている。アジアの人気作品は、その土地に暮らす人々の嗜好を映す鏡であり、東洋の考え方や文化に触れる大切な媒体となっているのだ。

ほとんどのイタリア人はなにかしら、日本の文化にいつも触れ、多くの人が好意的に受け入れている。コミック、アニメ、格闘技、その高い技術力や日本車などだ。でも、実は本当の日本の文化を知っている人はわずかしかいない。いまだ日本はサムライと芸者とマンガの島だと思っている人だって少なくない。これはそう特異なことではない。だって、日本でもそうだろう? イタリア人のイメージはきっとマフィアだとか、いつだってピッツァやパスタを食べてるとか(うん・・・まあそうかもしれないけど)、そんなところだろう。この映画祭の良いところは、西洋の人間ひとりひとりが日本やアジアの文化をより深く、正しく知ることができるところだ。どんなことが似ていて、どこが違うのか。それを理解する良い機会なのだ。

さて、今夜はオープニングセレモニーが行われ、ウーディネ市長、新ジョバンニ劇場支配人とプレゼンテーターが挨拶に立った。今年は昨年と比べても、非常に多数の観客が会場に詰めかけていた。映画祭の皮切りとして上映されたのは二作品。

一作目はチャン・ツィイー主演の『ソフィーの復讐』。中国の楽しいロマンティック・コメディだ。実際、中国の、というよりはほとんどアメリカのコメディー映画のような印象を受けた。テーマは典型的なアメリカ的な恋愛物だが、ところどころに笑いの要素がちりばめられて、楽しい映画だった。二作目は『維多利亜壱号 Dream Home』(日本未公開)。香港のホラー・スプラッター系映画だ。血が飛び散ったり、暴力シーンが多々・・・あまり好きなジャンルではないのだが。流血シーンなどは少し非現実的ながら、主題はしっかりしており、また登場人物各々のキャラクターが引き立っていた。同ジャンルの映画の中では優れた作品と言っても良いだろう。

明日はウーディネの街角のあちこちで、日本の囲碁や生け花、格闘技まで様々なデモンストレーションが行われることになっている。これらもあわせてレポートをお届けしたい。【現地取材:Marco Sottile / 翻訳・編集:真野香理】

公式サイト http://www.fareastfilm.com/
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