本田望結に青春アニメの名手・山田尚子監督が感謝!「いい青春をありがとうございます」
『映画 聲の形』(16)の監督・山田尚子と脚本・吉田玲子らメインスタッフが再集結した『リズと青い鳥』(4月21日公開)の完成披露試写会が4日、東京・丸の内ピカデリー2で開催。主人公2人の声を担当した種崎敦美と東山奈央、ゲスト声優の本田望結と、メガホンをとった山田が登壇した。
昨年秋に刊行された武田綾乃の人気シリーズの6作目「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」を映画化した本作は、2015年から放送されたテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」のスピンオフ作品。同作に登場した吹奏楽部員でオーボエ担当の鎧塚みぞれとフルート担当の傘木希美にフォーカスを当て、最後のコンクールに臨む2人の友情を描く。
劇中で親友同士を演じている種崎と東山の2人は、舞台挨拶でも仲睦まじいやり取りを披露。「とても静かな映画で、その静かな中に充実したものがたくさん詰まっている」と完成した作品を観た感想を東山が述べると、種崎は「その通り」と便乗。そして「キャラクターの指先からつま先まですべてが繊細で、私たちがお芝居する前に絵がお芝居をしてくれていて、とてもやりやすかった」と語る種崎。
主演2人からの絶賛に山田は「京アニのスタッフたちも喜ぶと思います」とコメント。さらに作品の魅力を熱く語る種崎と東山に、山田は顔を赤らめながら「自分も希美とみぞれの2人を通して、リズと青い鳥の少女を観察する気分でカメラを向けていました」と制作時の心情を振り返る。
そんななか、本作で劇中に登場する絵本の登場人物2役に挑戦した本田は「うれしさと不安が両方あって、収録が終わってからも少し不安だった」と吐露。収録中に山田から「どっちがしゃべっているのかわからないくらいで、自然な感じで演じてほしい」とアドバイスをもらったことを明かす本田は、完成した作品を観て「監督のおっしゃっていたことは間違いじゃなかったと感じました」と感慨深げに語り、山田に深々と感謝を述べた。
劇中で描かれるような“青春”をテーマにしたトークに入ると種崎は「青春を語りだすと止まらないですよ」と“青春”への思い入れの強さを明らかに。「みぞれと似たような経験をしたことがあるんですけど…」と語りだしながらも、途中でやめようとした種崎に会場から大きな拍手が起こる。そして仲の良かった友人とのエピソードをじっくり語った種崎は「(劇中のみぞれと希美の姿に)全部身に覚えがある」と照れ笑いを浮かべた。
すると、まだ中学生の本田は種崎のほうを向き「青春っていうのはどういう感じのものなんですか?」と訊ねる。それに種崎が「もう戻れない瞬間とか、キラキラしていたり、一生これは忘れられない瞬間、すべてが青春!」と熱弁し会場中の笑いを誘う。
「青春って恋愛のものだと思ってました」と返す本田に、これまで数多くの青春アニメを手掛けてきた山田が「あなたがいま青春ですよ」とささやき「なんだかわからないもの、掴めないもの。きっと最中の本人は気づかないと思います」と語りかける。そして山田は、青春真っただ中の本田から作品への刺激をもらったようで「いい青春をありがとうございます」と深々とお辞儀をした。
取材・文/久保田 和馬