村上春樹原作の作品やゴダール新作も!“映画の祭典”カンヌのコンペ作品が発表
現地時間5月8日(火)から開催される、世界三大映画祭のひとつ第71回カンヌ国際映画祭。既報の通り日本からは是枝裕和監督の『万引き家族』(6月8日公開)と、濱口竜介監督の『寝ても覚めても』(9月1日公開)が出品される“映画祭の華”コンペティション部門のラインナップに要注目だ。
同映画祭のコンペティション部門といえば、ミヒャエル・ハネケ監督やジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督といった、パルムドール(最高賞)受賞経験のある常連監督が毎年のように新作を発表する場としても知られている。ところが今年は、現時点で発表されている18作品の中にパルムドール受賞経験を持つ監督の作品が1本もない。
しかし、例年通り追加作品が今後発表されるとの見方も強く、その有力作には『雪の轍』(14)のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督や『ツリー・オブ・ライフ』(11)のテレンス・マリック監督の新作も含まれている。もしそれらが出品されることがなければ、第51回以来じつに20年ぶりとなるパルムドール経験者不在のコンペティション部門となる。
そんな今年の最大の注目ポイントは、実に8度目のカンヌコンペ出品となるフランス映画界の巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の新作『ザ・イメージ・ブック(英題)』がお披露目されることだろう。今年のカンヌ国際映画祭の公式ポスターには彼の代表作『気狂いピエロ』(65)のジャン=ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナのカップルが描かれ、まさに“生ける伝説”を讃える準備が万全。
『さらば、愛の言葉よ』(14)で第67回の審査員賞を受賞しているものの、意外にもパルムドール受賞経験のないゴダール監督は、これまでベルリン国際映画祭の金熊賞を『アルファヴィル』(65)で、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を『カルメンという名の女』(83)で受賞。本作でパルムドールを受賞すれば、ロバート・アルトマン、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、ミケランジェロ・アントニオーニに続く三大映画祭完全制覇を成し遂げることに。
また、その偉業がかかっている監督はもう1人。『スリー・フェイシズ(英題)』を引っさげて初のカンヌコンペに挑むジャファル・パナヒ監督だ。彼は『チャドルと生きる』(00)で金獅子賞を受賞し『人生タクシー』(15)で金熊賞を受賞。反体制的といわれイラン政府から20年間の映画製作禁止令が下されながらも、従来の映画の概念を覆す作品を生み出しつづけるパナヒ監督。今度はどのような作品で驚きを与えてくれるのか期待したい。