樹木希林、“憧れの的”だった山崎努との初共演の喜びを語る!「とてもありがたいお仕事でした」
30年間以上にわたり家の敷地から出ずに庭にいる生きものたちを描写しつづけたことで知られる画家・熊谷守一のエピソードをもとに、彼の晩年の日常を描いた『モリのいる場所』(5月18日公開)の完成披露試写会が22日、東京・渋谷のユーロライブで開催。主人公モリを演じた山崎努と、妻・秀子役の樹木希林をはじめ、吉村界人、青木崇高、池谷のぶえ、沖田修一監督が登壇した。
『キツツキと雨』(12)以来となる沖田とのタッグに山崎は「監督は準備の間は慎重で、僕がなにか言ってもすぐに返事が返ってこない。ところが現場に入ると一転して即断即決。とてもいい反応でした。その切り替えがすばらしかったと思います」と絶賛。
また、本作で初の沖田作品出演となる樹木も「私は偏屈で人をなかなか認めたくないタイプの人間なんですが、沖田監督は役者としては一番うれしい、人間を見てくれる監督。これからを期待をしていますので頑張ってください」とエールを送る。日本映画界の重鎮2人から熱烈な賛辞を送られた沖田は「これから頑張ろうかなと思います」と囁くように語り、恐縮した様子を見せた。
かつて同じ劇団「文学座」に所属していた山崎と樹木2人は、意外にも本作が初共演。その感想を訊ねられると、劇中での夫婦役さながらに息ぴったりの2人は同時にマイクを持ち上げる。そして樹木が「夫を差し置いて自分で喋るんですけど」と話しはじめ、会場の笑いを誘った。
「私は60年近く役者をやっているんですけど、初っ端に入ったところが文学座。そこのちょっと先輩で、そのとき舞台よりも黒澤さんの映画で出てましたから、後輩にとっては憧れの的でした。まったく遠い人でしたね」と、当時の印象を明かす樹木。
さらに「芸能界に入ってからただの一度も同じ画面で芝居をしたことがない。山崎さんは正道の役者の道を歩かれて、私はあちこちバラエティみたいな役者でしたから、この歳になってこの仕事をいただいて、電話で熊谷守一さんの映画だと聞いたときに、山崎さんがおやりになるのかなと思いました」と、直感したことを振り返る。
そして「主演が山崎さんですと言われたので『私はなんの役ですか?』と訊いたところ、奥さん役だと言われたので『やらせてください!』とすぐにお願いしました。役者になった18歳の時に、本当にそんなことがあるとは思ってなかったですからね。とてもありがたいお仕事でした」とじっくりと共演の喜びをかみしめた。