女子、土俵を降りない。禁断の“女相撲”でDV被害者や元遊女がガチの取り組み!
2010年に公開され数々の映画賞に輝いた『ヘヴンズ ストーリー』以来8 年ぶりに瀬々敬久監督が自主企画で完成させた、アナーキーな青春群像劇『菊とギロチン』が7月7日(土)より公開される。今回、本作の重要なテーマのひとつである“女相撲”に取り組む女性たちを捉えた劇中写真が解禁された。
本作の舞台は大正末期、関東大震災直後の日本。登場するのは、かつて実際に全国で興行されていた女相撲の一座と、実在したアナキスト・グループ「ギロチン社」の青年たちだ。
女相撲一座「玉岩興行」には、元遊女の十勝川(韓英恵)や家出娘など、ワケありの娘たちが集まっており、そのなかに主人公の新人力士・花菊(木竜麻生)の姿もあった。彼女は貧しい農家の嫁だったが、夫の暴力に耐えかねて家出し、女相撲に加わっていたのだ。「強くなりたい。自分の力で生きてみたい」と願う花菊は、周囲の人々から奇異の目で見られながらも、厳しい練習を重ねていく。「ギロチン社」の中心メンバーである中濱鐵(東出昌大)と古田大次郎(寛一郎)は、女力士たちの戦いぶりに魅せられ、彼女たちと行動を共にするようになるのだ。
様々な過去を背負った女性たちが、“社会を変えたい”という大きな夢を持った若者たちと運命的に出会い、立場は違えど「自由な世界に生きること」を願う者同士、次第に心を通わせそれぞれの闘いに挑んでいく、という群像劇に仕上がっている。
この女相撲が興行として始まったのは江戸時代とされており、明治13年(1880)には山形の石山兵四郎が「石山女相撲」を創業して本格的な女相撲興行を開始。その後、いくつかの一座が生まれ、全国を巡業し、活況を呈す。明治23年(1890)年には東京・両国回向院での興行が大評判となるが「風紀を乱す」との声もあり、興行の中止を命ぜられた。それでも女相撲は庶民の支持を受け、昭和初期にはハワイや台湾、満州、サイパンなどでも巡業。戦後も各地で興行するも、昭和30年代までにはすべての一座が幕を下ろしたと伝えられている。
本作では、発祥の地である山形の女相撲研究家・佐藤宏一や昭和初期に活躍した女大関・若緑を母に持つ遠藤泰夫から資料提供を受け、当時の女相撲を再現。2016年10月、滋賀県愛荘町の軽野神社境内に土俵と相撲小屋をしつらえて熱戦シーンが撮影された。
力士役は主演の木竜をはじめオーデイションなどで選ばれた精鋭11名で、彼女らは6月から大学相撲部の指導を受けて稽古に取り組んだそう。当初は基本動作もままならなかったが、撮影時にはそれぞれの得意技を披露できるまでに成長。連日の激しい稽古ですり傷や腰痛など満身創痍になりつつも瀬々監督の演出に体を張って応えており、単なる演技を凌駕した対戦シーンは必見だ。
また本日からは、本作の公開に向けたクラウドファンディングが開始されており、全国共通劇場鑑賞券、試写会や初日の招待、オリジナルグッズはもちろん、東出昌大の劇中着用衣装などが特典として用意されている。詳細はクラウドファンディングプラットフォームのMotionGalleryを確認してみてほしい。
文/編集部