“悪イイ顔”No.1は誰だ?…役所広司、江口洋介、竹野内豊らのダーティな名演にシビれろ!
役所広司、松坂桃李ら実力派キャストが一堂に会し、“警察小説×『仁義なき戦い』”と評される同名小説を映画化した『孤狼の血』(5月12日公開)。架空の都市・呉原を舞台に、暴力団と癒着関係にあるベテラン悪徳刑事と、彼とバディを組まされる新人刑事が抗争事件に巻き込まれていく姿を、鮮烈なバイオレンスと共に描くハードボイルド作品だ。
日本を代表する名優たちがスクリーンからはみ出さんばかりのダーティな魅力を炸裂させている本作で、彼らが見せる“イイ顔”の数々を紹介したい!
恐喝、暴力…野放図なアウトロー刑事の迫力にゾクッ!
まず紹介するのは主人公のベテラン刑事・大上を演じている役所。実はキャリアの中で度々アウトローに扮しており、『シャブ極道』(96)では覚せい剤に取り憑かれた主人公のヤクザを、『渇き。』(14)では粗暴な元刑事の男を怪演してきた彼だが、今回はこれまでのアウトローを超えるワル~い顔を披露。
サングラス越しでも伝わるほどの鋭い眼光で、若い暴力団組員を恫喝したり、松坂演じる若手刑事をボコボコにしたりと、とにかくやりたい放題。目の据わった表情で、「警察じゃけえ…何してもいいんじゃ」と静かに呟きながら暴力団員の首に短刀を突き付ける姿は、もはや“失禁”もの!警察組織だけでなく暴力団からも一目置かれるというキャラクターに説得力を持たせる演技は、さすが役所といったところだ。
ブチギレ寸前!窮地の男の危うい魅力が全開…!
そんな刑事とは思えない大上と懇意の関係にあり、敵対する暴力団の執拗なシマ荒らしにブチギレ寸前のヤクザ・一之瀬を演じるのが、今作がヤクザ役初挑戦となる江口洋介だ。
服役中の親分に代わって組を仕切るものの、対立する組織にやり込められる一之瀬。組のトップに立つ者として、余裕の立ち振る舞いを見せる一方で、そのイライラを若手刑事にぶつけたりと、いつネジが外れてもおかしくない男の危うさをニヒルな表情で表現した江口。怒りの臨界点を超えた彼が、クライマックスで見せる凄惨な暴力シーンは、思わず卒倒するほどの迫力だ。
ダンディな見た目×野獣的な色気にクラッ!
一之瀬と敵対する暴力団・加古村組の若頭・野崎を演じるのは、端正な顔立ちと穏やかな物腰で、これまで数々のイケメンキャラを演じてきた竹野内豊。野崎はゴージャスなファッションに身を包み、立っているだけでダンディズムがあふれ出る渋~い見た目とは裏腹に、その本性は暴力的でキレやすい男だ。
本編の冒頭で展開するリンチシーンでは、その整った顔を歪めながら呉弁で部下をまくし立てる姿を披露。その粗暴かつ野性味あふれる佇まいからは『仁義なき戦い 広島死闘編』(73)で千葉真一が演じた名キャラクター・大友勝利を彷彿させるほどのワイルドな色気がムンムンと漂っている。
さらに大上のある“秘密”を握っている新聞記者を演じる中村獅童や、大上と懇意の右翼団体・幹部を演じるピエール瀧、改造した自分の性器を自慢するヤクザを演じる音尾琢真など、脇を固める面々の怪演にも注目だ。
男たちの色気と気迫があふれる『孤狼の血』。実力派俳優たちが群雄割拠する本作で、誰がナンバー1の強面か、ぜひスクリーンで確認してほしい!
文/トライワークス