役所広司が新宿に降臨!「天使だと思って演じた」悪徳刑事役に原作者もご満悦
第154回直木賞候補になった柚月裕子の同名小説を『凶悪』(13)や『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)の白石和彌監督が映画化した『孤狼の血』(5月12日公開)。本作の公開記念トークイベントが5日、紀伊國屋ホールで開催され、主演の役所広司と白石和彌監督、柚月の3人が登壇した。
本作の舞台は昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島。県警本部から所轄へ配属された新人刑事の日岡は、暴力団との癒着が噂されるベテラン刑事の大上とともに、金融会社社員の失踪事件を捜査し始める。ところが、常軌を逸した捜査を行う大上に翻弄され続けた日岡は、次第に暴力団同士の激しい抗争に巻き込まれていく。
「ファーストシーンから心がワクワクする作品です」と述懐する役所は「後半に僕の出番が少なくなってからおもしろくなる」とボヤいて笑いを誘うと「汚れ役ですけど、天使だと思って演じていました。時々町の中に痰を吐く天使です」と笑顔で役柄を解説。すると隣にいた白石が「俺は天使になんてことをやらせたんだろ…(笑)」とつぶやき会場を沸かせる。
さらに役所は、撮影中の大変だったエピソードとして、松坂と共演したクラブのシーンでのワンカット長回しの演技を挙げ「現場に行ったら監督が『ここワンカットですから』って言うので冗談かなと思ったら本当でした」と苦笑い。すると白石は「実は行きつけになった店に飲みに行く約束がありまして…」と冗談めいた様子でワンカット撮影の真相を明かした。
一方で、撮影現場に足を運んだという柚月は「すごいアツかったんです」と振り返り「原作は熱量高めに書きましたが、映画の現場は熱いのと同時に物理的に暑くて…」と、ちょうど1年前の撮影を思い出す。そして「でもスタートがかかってからの皆さんの目が印象的でした。非常にかっこよかったです」と男たちの熱い演技合戦にすっかり心酔した様子で語った。
またトークイベントの前には映画公開記念特別展の開催を祝したテープカットに役所と柚月が登場。ゴールデンウィークで賑わう新宿の歩行者天国に面した紀伊國屋書店新宿本店の入口前に突然現れた役所の姿に、周囲は一時騒然となった。劇中に使われた小道具や、美術セットの様子がわかるパネルなどが展示された特別展は、紀伊國屋書店新宿本店にて開催中だ。
取材・文/久保田 和馬