舘ひろし&黒木瞳は「夫婦に近い友人」!?初の夫婦役に挑んだ『終わった人』が完成
「リング」シリーズなどでJホラー界を牽引してきた中田秀夫監督が、初めてコメディ映画に挑戦した『終わった人』(6月9日公開)。その完成披露イベントが10日、東京国際フォーラム・ホールCで開催され舘ひろしと黒木瞳を筆頭に、広末涼子、田口トモロヲ、ベンガル、そして原作者の内館牧子と中田監督が登壇した。
本作は中田監督が「一目惚れした」と語る、内館の同名小説を原作に、超高齢化社会になった日本が抱える普遍的なテーマである“定年”にフォーカスを当てた心温まる一本。仕事一筋で生きてきた主人公・壮介が定年を迎え、第二の人生と向き合っていく様を通して、夫婦や家族のあり方をユーモラスに描き出す。
原作の書き出しである「定年って、生前葬だな」という衝撃な言葉をイメージし、壇上には大きな祭壇が設置。作品の完成を祝した“爆笑生前葬”と銘打ってマスコミ向けに記者会見を行い記者からの質問に答えた7人は、その後同じ会場で行われたプレミア試写会で舞台挨拶を行なった。
会場に詰めかけたファンから黄色い声援を浴びた舘は「“終わった人”というタイトルを見たとき、本当に私自身が終わりに近付いているので、こういう作品をやっちゃっていいのかなと思いました」とにこやかに振り返ると「定年を迎えた方、迎えそうな方に非常に参考になる映画だと思います。定年は終わりじゃなくて次のステージへの始まりです」と力強く語った。
一方で、劇中で妻の千草を演じた黒木は「中田監督とは3作目なので是非やらせていただきたいと思いました」と厚い信頼関係をうかがわせる。そしてこれまで何度も共演し、恋人役の経験もある舘と初めて夫婦役を演じたことについて「長い付き合いですので、長い年月連れ添った夫婦のような空気感を出せるのではないかと」とコメント。すると隣にいた舘は「限りなく夫婦に近い友人なんです」と明かし、会場を大きく沸かせた。
そんな2人に対し、壮介が恋に落ちる女性・久里を演じた広末は「お2人のように“終わってない”人が演じないと、きっと悲しくて重たい話になってしまうだろうなとずっと感じていました」と会場の笑いを誘う。そして腕と鎖骨を露わにした華やかなドレスを身にまとった黒木を眺めながら「黒木さんを見ていると“終わり”はないんだなと思いました。追いかけます!」と意気込んだ。
また、舞台挨拶の前に行われた記者会見で「生前葬に興味はあるか?」と訊ねられた舘。「まったく考えたことないですね…」と苦笑いを浮かべながら答えるものの、近年行う人が増えている現状を知らされると「じゃあ俺もやってみようかな」と興味を示す。さらに“人生100年時代”とされる昨今にちなみ、記者から「100歳になったら何をされていますか?」との質問に舘は「死んでますね」と即答し笑いを誘った。
取材・文/久保田 和馬