『モリのいる場所』初日も“希林節”が炸裂!北米の映画祭受賞に「それなんですか?」
実在の画家・熊谷守一とその妻・秀子の晩年の日常を『南極料理人』(09)や『横道世之介』(13)の沖田修一監督がユーモラスに描き出した『モリのいる場所』が19日に公開初日を迎え、東京・シネスイッチ銀座で初日舞台挨拶が開催。山崎努と樹木希林、池谷のぶえ、沖田監督が登壇した。
「一昨年の秋に沖田監督から連絡があってから、ずっと熊谷守一に漬かっておりました。守一の漬物みたいな感じです(笑)」と茶目っ気たっぷりに挨拶した山崎は「でもそれも今日の初日でおしまいです。ちょっと寂しいような、本当のことを言うとホッとしたような気持ちでございます」と述べ、満員の客席に深々とお辞儀をした。
そんな山崎は、熊谷守一を演じることが決まった時を振り返り「前から好きだったので、まさか自分が演じることになるとは夢にも思っていなかった。ちょっと戸惑いましたね」と語る。また、撮影現場での様子について「僕が暑さに負けてぐったりしていると樹木さんが励ましてくれました。劇団では僕のほうがちょっと先輩なんですけど、現場では立場が逆転してリードしてもらいましたね」と微笑んだ。
一方で山崎との共演を「至福の時間でした」と明かす樹木は、作品についても「後々残っていく映画の一本になっていくと思いました」と満足そうに語る。そして「ただね」と前置きをした樹木は「守一さんの娘さんに作品を観ていただいたときに、挨拶したら『まあねえ、うちの母とはずいぶん違ってたけど、あんなもんじゃない?』という感じでした」とのエピソードを明かし、笑いを誘った。
現在開催中の第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されている是枝裕和監督の『万引き家族』(6月8日公開)など、国際的な注目を浴びつづけている樹木は、7月から北米で開催される映画祭「ジャパン・カッツ」で、国際的に活躍している日本人俳優に与えられる賞を授与されることが決定している。
そのことについて話を振られると「それ何ですか?初めて聞きました」とあっけらかんと答えた樹木に、会場は大爆笑。そして「何でもね、もらえるものはね」と微笑み「ありがとうございます」と述べる樹木。さらに同映画祭では本作も目玉作品のひとつとして上映されるとのことで、沖田は「僕もいま初めて知りました(笑)」とユーモラスなやり取りを展開。会場をさらに笑顔にさせた。
取材・文/久保田 和馬