戸惑いを感じつつも、普段の映画館にはない一面が楽しめる
映画館のイメージがDJパーティと結びつかないこともあってか、スタート時にはゲストの多くが戸惑いを感じていたようで、「最初はみなさん『どうしたらいいんだろう?』という雰囲気で、席でじっとしていたので、私としても正直ドキドキしました」と振り返る塩﨑氏。「イベントの構築観、導入部分の空気づくりなどは、もう一度PARTISさんと連携したいですね」と今後の課題として挙げている。
一方で、解放されたロビーがゲスト同士の交流の場として活用され、映画館らしく、ポップコーンを片手に踊っている人もいたり、座ったまま音楽に没頭する人もいたりと、時間と共にそれぞれが楽しみ方を見出していった様子。「普段の映画館にはない一面が味わえ、『映画館の概念が変わった』という感想もいただきました」と石井氏は話しており、ポジティブな要素もたくさんあったようだ。
新作映画とのタイアップなど、広がる可能性
今後の展開や挑戦したいことについて石井氏は「地方の映画館で開催したり、映画とのタイアップができたらいいですね。あと、音楽と映像をもっとリンクさせたいです。クリエイティブな面でも、まだまだ改善の余地はあります」とその展望を述べる。確かに、タイアップという形で映画とのコラボができれば、作品の映像を使用でき、より映画館に即したイベントになると考えられる。一方で、普段映画館を利用しない層へのアピールにもつながり、新作映画を知ってもらう機会にもなりそうだ。
映画館の新しい可能性を提示した「シネマティック・ダンス」。「映画館がハブとなって、音楽や映像を楽しみながらつながりを持っていただけるように、今後も定期的に開催したいですね」と塩﨑氏は語り、劇場としても手応えを感じたようだ。映画が始まる前のワクワク感とクラブミュージックの高揚感がマッチした空間を味わいに、次の機会に訪れてみてはいかがだろうか?
取材・文/トライワークス