川栄李奈、ブレイク女優の胸の内「頑張っている子の夢や目標になれたらうれしい」
川栄李奈が、人気テレビアニメ「ポケットモンスター」シリーズ劇場版第21作目『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』(公開中)のゲスト声優に抜てきとなった。AKB48を卒業後、女優として目覚ましいほどの快進撃を続けているが「AKB48のころは選抜に入っていたとはいえ、(総選挙)最高16位とかなので…」と苦笑い。「選抜に入れない子たちや頑張っている子の夢や目標になれたら、すごくうれしい」と真っ直ぐな想いを明かす。力強く前進するうえで欠かせない仲間の存在、パワーをくれた言葉など、川栄の“進化の理由”に迫る。
本作は、伝説のポケモン・ルギアから恵みの風をもらう街を舞台に、サトシとピカチュウが新しい5人の仲間と繰り広げる壮大な物語。川栄は、ポケモン初心者の女子高生・リサの声を演じる。「子どもから大人まで幅広い世代が知っているポケモンの世界に参加できるのは、すごく光栄」と声を弾ませる川栄だが「声のお仕事はとても難しい」と吐露。「映像と台本をいただいて、家でたくさん練習をしました。ひたすら発声。声に出しながら取り組みました」と自宅でも猛特訓したという。
リサは物怖じしない元気な女の子のため「頑張ってテンションを上げるようにしました」と役作りへのこだわりを話す。「リサは『やったー!』とかうれしい時は声に出して表現するけれど、私はそういうことがあまりないので。どちらかというと、消極的なほうです」と照れ笑い。「お芝居だと他の人になることができるので、思い切りテンションを上げることもできます。お芝居が大好きなんです」と演じる楽しさを語る。
初舞台となった「AZUMI 幕末編」で注目を浴び、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、映画『亜人』(17)『嘘を愛する女』(18)など出演作を重ねるごとに女優としての評価を高めてきた。
周囲の評価について「驚いている」というが、AKB48卒業後の自身の進化について「自分が変わっていないこと。それが大きいと思います。評価していただいたとしても、調子に乗ることもないです。そうやって変わらない自分を保てているのは、自分の強みかなと思っています」と分析。変わらず大事にしているモットーとして「女優さんとしてというよりも、人間として尊敬されるような人になりたい。挨拶など基本的なことができないのは、イヤなんです。人として好かれる人になりたいです」と柔らかな笑顔を見せる。
“誠実さ”を胸に女優道を邁進している川栄。演じたリサはある悩みを抱えており、一歩踏み出せないでいる少女でもあるが、川栄自身は「立ち直りは早いほう。何事もプラスに考えるんです。いつも“なるようになる”と思っています。あまり不安に思わないことも強みかもしれません」とポジティブ思考の持ち主。強さを身につけられたのはもともとの性格プラス、AKB48での経験が大きいという。「AKB48ではメンタル、体力ともに、とても鍛えられました。いまよりずっと忙しかったので余裕がなくて。いまは全然平気です!とても充実しています」。
AKB48で培った経験はかけがえのないものとなり「いつも私にパワーをくれるのは、仲間の存在。AKB48の仲間とはいまでもよく会っています。横山由依さんとは特に仲がよくて、週に2、3回は会っているかも」と大切な仲間にも出会えた。
「AKB48のメンバーは、私が15歳の時から一緒。そのころは、家族といるよりも長い時間を一緒に過ごしていました。お互いをわかっているし、悩み事を話すと的確な答えが返ってくる。励ましたり、励まされたりして、会った時は必ず楽しい話で終わるんですよ」。
AKB48卒業を決心した時も、横山が背中を押してくれたという。「横山さんは、いつもそのままの自分を受け止めてくれて、応援してくれるんです。“私はこう思う”と言うのではなくて、“どうしたい?”という気持ちを優先してくれる。“やりたいほうをやったほうがいいよ”と言ってくれます。横山さんに否定されたことって、一度もないんですよ。卒業する時もすごく励みになりました」。
芸能界のスタートの場所において“人生の宝物”を手にした川栄だが、いまや在籍メンバーにとっても、女優という道筋を示す存在となった。「私は選抜に入っていたとはいえ、最高16位とかで…。ギリギリです!『そんなに人気がなかった川栄さんが頑張っている。私も頑張ろう』と思ってもらえたらうれしい。選抜に入れない子たちや頑張っている子の夢や目標になれたら、すごくうれしいです」。誠実に、謙虚に。仲間の存在をパワーに歩み続ける川栄李奈の今後が、ますます楽しみになった。
取材・文/成田 おり枝