ウンナンもパロった!80年代の大ヒット作『ストリート・オブ・ファイヤー』を振り返る
音楽専門チャンネル「MTV」の人気も相まって、80年代初頭に起きたサウンドトラックブーム。当時話題となった『フラッシュダンス』(83)や『フットルース』(84)などは、映画本編は観たことがなくても、劇中で使用された楽曲を聴いたことがあるという人も少なくないはず。本日7月21日からデジタル・リマスター版が公開となった『ストリート・オブ・ファイヤー』(84)も同じカテゴリで語られる作品だ。80年代を代表する伝説のロック映画として、公開から30年以上経ったいまも熱烈な人気を誇っているのだが、改めてどんな作品だったのだろうか?
ストーリーはいたってシンプル。ロック歌手のエレンは地元リッチモンドでの凱旋ライブ中に、ストリートギャングのボンバーズにさらわれてしまう。姉に呼ばれ街に戻ってきた流れ者のトムは元恋人のエレンを救うため、ボンバーズのアジトを急襲し、救出に成功。面目をつぶされたボンバーズのボス・レイブンはトムに決闘を申し込み、運命の戦いが始まる…というもの。
アクションを得意とするウォルター・ヒル監督が手掛けた本作は、音楽をメインにしたラブストーリーで、ダイアン・レイン演じるエレンによる歌唱シーン(実は吹き替え)が印象的だった。ド派手なアクションが繰り広げられるものの、誰も死なないという、実は平和な作品だったりする。
出演者に目を向けると、本作への出演がターニングポイントとなった俳優が多い。主演のマイケル・パレは一躍ブレイクし、その後も数々のB級アクションに主演するなど、現在も活躍中。ヒロインを演じた当時19歳のダイアン・レインはその後、リチャード・ギアと共演した『運命の女』(02)でアカデミー賞主演女優賞候補になった。
また、ストリートギャングのボス、レイブンを演じたウィレム・デフォーは『プラトーン』(86)でブレイク。エレンのマネージャーのビリー役を務めたリック・モラニスは『ゴーストバスターズ』(84)や『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(86)で人気となった。
前述したように劇中歌がヒットを記録した本作だが、エレンが歌う「今夜は青春」をカバーした椎名恵の「今夜はANGEL」が大映ドラマ「ヤヌスの鏡」の主題歌として起用されてヒット。また、まるで魚屋さんが着用するゴム長のような衣装を着るレイブンがウッチャンナンチャンのコント番組でいじられたりと、本編とは関係のないところで注目を浴びることもあった。
今回のデジタル・リマスター版ではクリアな映像で名作が堪能できるだけでなく、5.1chの大音響で全編に響き渡る迫力あるロックサウンドも魅力だ。当時、映画館で観られなかったという人はもちろん、DVDなどでしか観たことがないという人は、ぜひこの機会に劇場で楽しんでほしい。
文/トライワークス