『プレデターズ』のルイ・オザワ、共演したい日本人俳優は浅野忠信と菊地凛子

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『プレデターズ』のルイ・オザワ、共演したい日本人俳優は浅野忠信と菊地凛子

アーノルド・シュワルツェネッガーの代表作『プレデター』(87)の21世紀リメイク版『プレデターズ』(公開中)。公開週末の興収ランキングでも4位とまずまずの滑り出しを迎えた。そのプロモーションのため、公開前日に来日を果たしたハンゾー役の俳優ルイ・オザワに話を聞いた。

――ハンゾー役はどのようにして決まったんでしょうか?

「今回、僕はテープでオーディションに出したんですよ。そしてあっという間に役が決まって、いきなりハワイに行けと言われて、そしていきなり撮影が始まって(笑)。本当にあり得ないようなお話なんですよね。自分でもびっくりしています」

――ヤクザという設定ですが、武士のような“ハンゾー”は、この映画の決闘シーンでとても重要な役割だったと思うのですが、ご自身で何か準備されたことはありましたか?

「たまたま、僕は剣道(2段)をやっていたというのもあって、しかも剣道の先生も一緒にいたんですよ。それに、雨で一週間ぐらい撮影がずれたこともあって、その間も練習できたし、プレデターやスタントマンの動きを見て、殺陣の練習もしたり、みんなが納得するまでやりました。どうしても昔風な戦いをやりたかったんですよね。ロドリゲス(監督)とニムロッド(製作)と“こんな戦いがしたい”というのがありました。黒澤明監督の『用心棒』のような、美しいシーンが撮りたかったんです」

――日本人が見ても黒澤映画のような共感できるところがあると思います。改めて、ハンゾーを演じるうえでのこだわりや、また特に自身が意識されたことはあるのでしょうか?

「ハンゾーはあまり話をしないから、彼の歴史みたいなものは自分で作らなきゃいけなかったんですね。もちろん、それは役者としてですが。ハンゾーは自分の人生をすべて捨てて、いろんな失敗もしてきたというような歴史を、自分で撮影に入る前に作っていました。どうしてもその気持ちを伝えたかったんですが、逆に、だから話さないという感じですかね。昔に辛いことがあって、話さなくなったという人間像がハンゾーを演じるうえでありました」

――今後、俳優として『プレデターズ』のようなジャンル以外にやってみたいものはありますか?

「いつか、ロマンティックコメディーの主役をやってみたいですね。過去にショートムービーでやったことがあるんですけどね(笑)」

――今まさにハリウッドで日系の俳優が活躍していますが、是非共演してみたいという日本人俳優はいらっしゃいますか?

「いつか日本人の俳優さんとやるとなると、僕は浅野忠信さんの大ファンなので彼と共演したいですね。女性でいうと、この間ニューヨークの地下鉄で見たんですけど、菊池凛子さんですね」

――ところで、あなたにそっくりな日本人コメディアンがいるのをご存知ですか?

「ダウンタウンの松ちゃんですか(笑)。昔からみんなに言われているんですよ」

――もし彼(=松本人志)からオファーがあったら?

「是非会ってみたいですね。隣で一緒に写真撮ってみたいです(笑)。あっ、そうだ、話は違うんですが、僕はやっぱりウエスタンの映画が一番やりたいです。そういう話はまだないですけど、18世紀のゴールドラッシュの時期に東洋人がウエスタンにいたんですよね。人種差別で殺されたりしてたんですが、そんな中で生き延びた人の話をいつかやってみたいです」

――製作のロドリゲスは日本だとパンクなイメージで、でも子煩悩な人気監督なんですけど、アメリカだとどんな感じなんですか?

「同じですね。今『スパイ・キッズ4』の製作をやってますけど、もちろんそんなのが好きだし、自分なりの映画を作る人なんですよ。とても面白い人だと僕は思います。彼はミュージシャンでもあるし、カメラもやるし。あと、グルメなのでみんなでディナーを食べに行ったりしてました」

――とても流暢な日本語をしゃべられていますが、普段は英語ですよね。アメリカ生まれで日系のハーフということで、俳優をやられるのは条件としてとても厳しいんじゃないかなと思うのですが、そんな中でも自分の強みとして今まで頑張ってこれた部分というのはどういったところでしょうか?

「うーん、厳しいところはやっぱり役があまりないところですね。いい役とかではなく、役自体もないとか。例えばテレビ番組とかだと、たった1つの役だったり、メインの人間が東洋人っていうのがあんまりないから、そういうのが辛いところですね。東洋人だって自分の人生では自分がメインじゃないですか(笑)。そして、自分には夢があって、まだそこには到達してないので、これから先、10年経っても僕は俳優をやっていきたいと思っています。どう考えてもこの仕事が好きなので、俳優しかできないですよ。今までレストランで働いたり、弁護士のオフィスで働いたり、カメラの仕事もやってましたよ。でも、いろんな仕事をしてきたけれど、毎日するならやっぱり俳優の仕事しかできないです」

――では、最後に。プレデターズのような惑星に連れて行かれたとしたら、どれくらい生き延びられると思いますか?

「僕、逃げるの早いですよ(笑)。多分、長く生き残れると思います。今回この映画を撮影したメンバーだったら、結構長く生き残れると思いますね」

気さくにインタビューに応じてくれて、撮影時もプレデターのフィギュアを持ってポーズを決めるなど、サービス精神も満点。この『プレデターズ』、エンディングを2パターン撮影したそうだが、本作で採用されなかったエンディングがどういったものか密かに聞いてみたのだが、さすがにそれはシークレットだった。次回出演作も既に決まっているルイ・オザワ、彼の活躍に期待しながら、日本での俳優デビューを心待ちにしたい。【Movie Walker】

■ルイ・オザワ プロフィール
ニューヨーク在住、34歳。日本人の母と台湾人の父を持つ。
日本での活動は、過去にCMモデルとして出演したことはあるが、俳優としての活動はない。
BBCの歴史番組で日本の戦国時代をテーマにした番組で、小早川秀秋を演じたことがある。
次回出演作は第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されたダグ・リーマン監督『Fair Game』(主演はショーン・ペン、ナオミ・ワッツ)
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