思い切り翻弄されたい!吉瀬美智子が男を手玉に取る悪女役を好演

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思い切り翻弄されたい!吉瀬美智子が男を手玉に取る悪女役を好演

「もう耐えられない。愛してる」。そんなどきりとするようなヒロインのセリフで始まるサスペンス映画『死刑台のエレベーター』(10月9日公開)。1958年のフランス映画をリメイクした本作で、阿部寛演じる愛人と共に、夫殺しの完全犯罪をたくらむ人妻に扮しているのは、いま人気上昇中の吉瀬美智子。映画初主演となる今回は、魔性の魅力で男を翻弄する“ファム・ファタール”を演じて、新たな魅力を発揮している。

「愛してる」の言葉と引き換えに、愛人を殺人犯に仕立て、夫を死へ至らしめる女。吉瀬が体現するその魔性は、とても一言では言い表せない。殺人に躊躇する愛人を「いくじなし!」となじる姿は、強気な女王様風。かと思えば、愛人の裏切りを疑い、顔を歪める様がいじらしく、さらには濡れたような瞳でもの思いにふける表情はとてつもなくセクシーだ。こんな女性にそそのかされたら、道を踏み外すのも仕方がないかも。

ちなみに本作のオリジナル版(10月9日よりシアター・イメージフォーラム他にて順次リバイバル上映)は、ヌーベルバーグの先駆けといわれた作品で、フランスの大女優ジャンヌ・モローがヒロインを熱演。当時29歳だったモローは、恋に狂った女の情念を圧倒的な存在感で体現し、ぶ厚い唇と大きな目を、官能的な美しさに変えた。そして女優として開眼したのだ。

そして今回のリメイク版も、吉瀬にとって大きな転機を迎える作品となるだろう。モローとタイプは違うものの、独特の扇情的なまなざしと深い余韻を残す口調は、ストーリーをよりドラマティックに彩る。なかでも必見なのはクライマックスの表情。完全犯罪のせつない末路をたどったファム・ファタールの顔に浮かび上がるのは、憎しみか恐怖か、それとも悲しみなのか? 最後まで彼女の姿から目が離せない本作。スクリーンで思い切り翻弄されたい。【トライワークス】

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