史上No.1サメ映画に出演中のマシ・オカが語る、ハリウッドに旋風を巻き起こす“アジアの力”
ジェイソン・ステイサム演じる潜水レスキューのプロフェッショナルと、200万年前に絶滅した超巨大ザメ“メガロドン”の真剣勝負を描きだした海洋パニック『MEG ザ・モンスター』がいよいよ9月7日(金)に日本上陸。このたび本作で海洋探査チームの一員、トシを演じた日本人俳優マシ・オカに直撃。いまハリウッドで大旋風を巻き起こしているアジアの底力について話を聞いた。
全米では実写サメ映画史上No. 1の興行成績を叩きだし週末ランキングで見事に初登場1位を獲得し、2週目以降も勢いは衰えることなく、3週連続で2位に君臨。そんな本作は、アメリカの大手映画会社ワーナー・ブラザースと中国の映画会社グラヴィティ・ピクチャーズが共同で製作を行い、アジア圏出身のキャスト・スタッフが大勢関わっていることでも注目を集めている。
日本で生まれ、ハリウッドを代表するVFX企業ILMでデジタル・アーティストとして活躍した後に俳優へと転身したマシ・オカは「まだまだ道のりは長いですが、この数年でハリウッドにおけるアジアに対する見方はかなり良くなっていると思います」と明かす。奇しくも現在、全米興収ランキングで本作と上位争いを数週間にわたり繰り広げている『クレイジー・リッチ!』(9月28日公開)もまた、アジア圏の俳優とスタッフが集結した話題作。これまでハリウッド映画の中でパターン化されてきた “アジア”に対するイメージに変化の時が訪れようとしているのだ。
大きなきっかけとして、マシ・オカはハリウッド映画のマーケティングについて言及する。「いまのハリウッド映画界はグローバルで、世界興収に依存している側面があります。以前は興収の80%がアメリカ国内で20%を海外で、というのが定番でしたが、現在はその割合が逆転しています。海外での成功が、一つの鍵になっているんです」。
その言葉を証明するように、本作の全世界興収はすでに4億6000万ドルを突破。なかでも中国国内では1億4000万ドルを突破しており、全米での興行成績を上回っている。さらに「ハリウッドにとって中国はドル箱市場ですから、多くのアジア系俳優、とくに中国人俳優を起用して、市場への参入をねらっているんです」と、現在のハリウッドを取り巻く環境の変化を冷静に分析した。
そんなマシ・オカが演じるトシは深海探査船のクルーとして登場し、巨大サメ“メガロドン”の恐怖を味わう役柄だ。狭い船内での撮影について「ジンバルの上に設置されていたから揺れもひどくて、派手に揺らされると船内の内装に激突して本当に痛かったんですよ」と振り返り「でも緻密な船内の内装と、あの狭さが、本当に深海に閉じ込められているような緊迫感を演出してくれたんです」と、撮影現場からすでに抜群の臨場感だったことを明かす。
そして本作の見どころといえば、なんといっても“メガロドン”。これまで数多く作られてきた“サメ映画”の常識を覆す、その圧倒的な存在について訊いてみるとマシ・オカは「実は、僕はサメ映画もホラー映画もかなり苦手なんです…」と本音を漏らす。とはいえ、彼自身が携わったレニー・ハーリン監督の『ディープ・ブルー』(99)や、サメ映画界の金字塔『ジョーズ』(75)には強い思い入れがあるようで「新たな世代のジョーズ映画に参加できたことをとても誇りに思っています」と満足そうな表情を浮かべた。
文/久保田 和馬