森田芳光監督の全28作品を、宇多丸が語り尽くす!トーク付き上映会を毎週末開催
2011年に61歳で逝去した森田芳光監督。「ぴあフィルムフェスティバル」の前身「ぴあ展」に『ライブイン茅ヶ崎』を持ち込み、キャリアを本格的にスタートさせた78年から40年経ったいま、彼の全28作品が上映されることが決定した。
自主映画からメジャー映画の監督へとなり、型にとらわれない独特な作品を作り続けた森田芳光。実験的な要素を入れ込んだ挑戦的でありながらも、キャッチーでポップという誰にも真似できないセンスは、“天才モリタ”と称された。シリアスなドラマから、コメディ、ホラー、時代劇、恋愛映画までジャンルにとらわれず、一見共通点がないように思えるフィルモグラフィを持つ彼だが、一貫して描いてきたのが“人間”についてだ。
「人間ってなんて面白いんだろう」というキャッチコピーで公開されたデビュー作『の・ようなもの』(81)は、若手落語家・志ん魚を主人公に、彼や周りにいる何者かになりきれない「のようなもの」たちを描いた青春群像劇。ひとつの目標に向かって主人公がひた走るという話の軸があるわけではなく、落語の才能の無さに悩んだり、あの娘もこの娘も好きになったりという行き当たりばったりの主人公を丁寧に綴っていく。時にとりとめのない意外な行動をしたりする不完全な人間のおもしろさが本作には凝縮されている。
また、人間という点で、森田はステレオタイプにハマらない個性豊かなキャラクター像を描いており、『間宮兄弟』(06)では、いい年をした男2人兄弟の同居生活を映し出している。一緒に模型飛行機を飛ばしたり、野球のスコアをつけながら試合を見たり、互いの恋愛の相談までしたり…と何事も2人で行う仲良しな間宮兄弟。世間一般的には、好奇の目で見られてしまうかもしれない変わり者の兄弟に対し、この作品は優しい目線を向けており、人間のあり方についての森田の考え方が反映されている。
そんな彼の全28作品を上映する「2018年の森田芳光 -森田芳光全作品上映&史上初!ライムスター宇多丸語り下ろし」では、森田作品をこよなく愛し、上映会の発案者でもあるライムスター・宇多丸のトークショーを全公演で実施。森田の妻であり、作品のプロデューサーも務めた三沢和子氏を招いて、作品についてたっぷり1時間語り下ろす内容となっており、ファンはもちろん、これを機に森田作品に足を踏みいれるという人にもうってつけなので、ぜひチェックしてほしい!
文/トライワークス
日程:11月3日(土)~12月16日(日)の毎週土・日曜日
会場:新文芸坐
チケット:1,500円(前売券)、1,800円(当日券)