止まらない夫婦の裏切り…!自分の美しさを知った若き妻は平凡な夫を愛し続けられる?
人気ドラマ「ゴシップガール」で演じたイケてるティーン、セリーナのイメージが未だに強いブレイク・ライヴリーだが、気づけば彼女も31歳。結婚、出産を経て、すっかり円熟味を増した大人の女性に。そんな彼女が『かごの中の瞳』(9月28日公開)では、ドロドロの愛憎劇という新境地に挑戦している。
環境の変化により生じた夫婦のすれ違いをサスペンスフルに描く本作。ライヴリー扮する主人公ジーナは、幼少期に交通事故が原因で失明してしまったものの、保険会社に勤めている献身的な夫ジェームズ(ジェイソン・クラーク)と、彼の転勤先のタイ・バンコクで慎ましくも、良好な夫婦関係を築いていた。
そんな彼女は、角膜移植手術により右目の視力が回復。想像していたよりもずっと美しい自分の魅力に気づき、次第に奔放に振舞っていく。胸元が大きく開いたワンピースやブロンドに染めた髪、夜の街に映えるゴージャスなメイク。ベッドで夫に以前は行わなかったプレイをねだったりと、みるみる好奇心も解放。素朴だった女性が、自信に満ちた魅惑的な女性へと変わっていく様を、ライヴリーは持ち前の美貌をフルに生かしたたたずまいで見事に表現している。
しかし、視力を得たことにより、今まで想像で補ってきた真実まで見えてしまい、2人の関係にも変化が生じるように。想像よりもずっと地味で平凡な夫や家に不満が募っていくジーナ。ジェームズもまた、愛する妻の世話という“特権”を失い、華やかになった彼女が「ほかの男に目移りするのではないか…」と疑心暗鬼がエスカレートしてしまう。互いに心の内は隠し、本音を言い合わないものの、どこかトゲのある言葉をぶつけ合う夫婦を体現するライヴリーとクラーク。あまりにリアルな心の距離を映していく彼らのいやらし~い演技は、観ているだけで居心地の悪さを感じてしまうほどだ。
代表作『チョコレート』(01)から、現在公開中の『プーと大人になった僕』まで、感情を揺さぶる秀作を多く生み出してきたマーク・フォースターがメガホンを握り、円満だった夫婦関係が壊れていく恐怖や倦怠感を、リアルな心理描写で描きだした本作。自我に目覚めた美しい若妻は、果たして平凡な夫を愛し続けることができるのか…?この愛憎劇の行く末を劇場で見届けてほしい。
文/トライワークス