地下アイドル&デリヘル嬢、 2つの顔を併せ持つヒロインの魅力とは?

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地下アイドル&デリヘル嬢、 2つの顔を併せ持つヒロインの魅力とは?

テレビや雑誌といったメディアには登場せず、ライブや撮影会を中心に活躍する地下アイドル。そんな地下アイドルのなかに、昼間は秋葉原でライブを行ない、夜はデリヘル嬢として働く異色の新人が登場した。と言っても、これは9月18日(土)より公開の『ロストパラダイス・イン・トーキョー』内での話だ。本作は、知的障害者の兄とふたりで暮らす主人公が、個性的なヒロインとの出会いを経て、絶望しかなかった人生に希望を見いだす様を描いた人間ドラマ。この、主人公に影響を与えるヒロインというのが「地下アイドル」と「デリヘル嬢」の2つの顔を持つ女性マリンだ。

「いつか自分だけの島を購入する」という夢を持ち、アグレッシブに生きるマリンの姿は躍動感にあふれ、男性ならば、その奔放さについつい魅了されてしまうはず。事実、主人公・幹生を演じた小林且弥も撮影中は彼女に魅了されっぱなしだったらしく、マリンというキャラクターについて熱く語ってくれた。

「僕の演じた幹生は、主人公なのに受身の性格で、自分から何かを発信していくタイプのキャラクターじゃないんです。マリンとの出会いも、1人じゃ性欲の処理ができない兄のために仕方なく呼び寄せたのが彼女だった、という感じですし。でも、彼女との出会いがきっかけで、ずっと抱え込んでいたジレンマに真剣に向き合えるようになったし、変わっていこうと決意することができた。マリンは、主人公以上に物語を引っ張っていく、とても影響力のあるキャラクターだと思います」。

そんなマリンを演じたのは、舞台を中心に活躍する新鋭女優の内田慈だ。日本大学芸術学部在学中から演劇活動を開始し、近年では『童貞放浪記』(09)、『クヒオ大佐』(09)などにも出演している。その演技に対する真摯な姿勢は、小林をはじめ、他の出演者にも大いに影響を与えたという。

「すごく行動力のある大胆なキャラクターかと思えば、繊細な一面も見え隠れする、そんな難しい役どころを、内田さんは見事に体現していました。彼女は演技の幅が本当に広くて、表現方法について色々と相談させてもらいました。自由に考えるゆとりの少ない、きつい現場ってよくあるんですけど、今回は内田さんに助けられて、納得のいく良い感じの演技ができたと思います」。

本作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』には、地下アイドル以外にも、傷害事件や企画モノAVといった、関心を引きやすいキーワードが随所に出てくる。そのため、これらのディテールばかりがクローズアップされがちだが、劇中では、葛藤しながらも前に進んでいこうとする人々の姿が、丁寧なタッチでしっかりと描かれている。本編鑑賞時は、登場人物たちの間に流れる繊細な感情の流れにも注目してもらいたい。【トライワークス】

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