村上春樹の短編を映画化!カンヌで絶賛の嵐を巻き起こした話題作が日本公開決定
村上春樹が1983年に発表し海外でも翻訳された短編小説「納屋を焼く」を原作に、『ペパーミント・キャンディ』(99)や『オアシス』(02)で知られる韓国の巨匠イ・チャンドン監督がオリジナルのストーリーを構築して作り上げた『バーニング 劇場版』が2019年2月から公開されることが決定した。
第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された本作は世界中の評論家から大絶賛を受け、国際批評家連盟賞を受賞。招待作の評点を集計する「スクリーンデイリー」では歴代最高評価となる4点満点中3.8点を獲得し、大きな話題をさらった。その後も世界中の映画祭を席巻した本作は、アメリカやイギリスなど多くの国で公開することが決まっている。
原作の設定を活かしながら、よりミステリアスなエンタテインメント作品として脚色された本作は、小説家を目指しながらバイトで生計を立てるジョンスが、幼なじみのヘミと偶然再会することから始まる。ヘミからアフリカ旅行へ行く間、飼っているネコの世話を頼まれるジョンス。旅行から戻ったヘミは、アフリカで出会ったという謎の男ベンをジョンスに紹介する。そしてベンはジョンスにある秘密を打ち明ける。「僕は時々ビニールハウスを燃やしています」。
主人公ジョンスを演じるのは『ベテラン』(15)や『王の運命-歴史を変えた八日間-』(15)で知られる演技派俳優ユ・アイン。そして謎の男ベンを演じるのは人気海外ドラマ「ウォーキング・デッド」でグレン役を演じ世界的注目を集めたスティーブン・ユァン。また、ジョンスの幼なじみのヘミを、オーディションで選ばれた新人女優チョン・ジョンソが演じる。
嘘と真実、現実と幻想の不確かな境界線を見事に描き出す驚異のストーリーテリングが最大の見どころの本作。これまで繊細な人間心理を描きつづけてきたイ・チャンドン監督の才気がいかんなく発揮され、すべてのシーンに伏線となるカギが埋め込まれているとのこと。観るたびに新たな見解を呼び起こすこと間違いなしの珠玉のミステリーに、期待はふくらむばかりだ。
文/久保田 和馬