後藤久美子『男はつらいよ』新作で映画復帰「山田監督から呼び出されたら、二つ返事で『はい!』です」
「男はつらいよ」シリーズ第1作の公開から50周年を迎える2019年に、シリーズ50作目となる新作『男はつらいよ50 おかえり、寅さん(仮)』が公開される。本作の製作会見が、10月31日に東宝スタジオで行われ、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、後藤久美子、夏木マリ、浅丘ルリ子、山田洋次監督が登壇した。山田監督は「いままでの作品に負けない集大成となればいいなと思っています」と新作への並々ならぬ思いを口にした。
1997年公開の第49作 『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』以来、22年ぶりとなった本作。後藤久美子は、「男はつらいよ」42~45作目と48作目で満男(吉岡秀隆)の初恋相手・及川泉役を演じたが、今回は結婚して2人の子どもを持つイズミ・ブルーナという役名で登場する。
後藤は、今回スクリーン復帰した経緯について「ジュネーブの自宅に山田さんからお手紙が届きました。こういう作品を作りたいから君が必要だと。長いお手紙でした」と手紙でオファーされたことを明かした。
後藤は、手紙から山田監督の情熱をひしひしと感じたそうで「お手紙を読み終わるころには、引き受ける、引き受けないというのを、私が考慮する権利すらないんじゃないかと思って。山田監督から呼び出されたら、二つ返事で『はい!』と行くんです。そう思いました」と笑顔で語った。
倍賞は、現場でいまは亡き渥美清の存在感を感じたそう。「満男としゃべっていると、おにいちゃん(渥美清)がいるような気配を感じるっていうのかな。吟ちゃんと話をしていても『あれ?』っとなりました」。
前田も「久しぶりにくるまやで撮影をしたんですが、23年のブランクは全く感じませんでした。すっと溶け込めた。おいちゃん、おばちゃん、タコ社長は、たまたま今日はいないということでやらせていただいてます」と笑顔で語った。
また、気になる寅さんの描き方について山田監督は「死んでしまったようなことも言わないし、どこかに生きているというような台詞もない。特にさくらさんの前では、そのことを言っちゃいけないというタブーがあるんだと思います。いまだにずっと行方知れずです」と説明した。
また、山田監督は、「男はつらいよ」シリーズを観たことのない若者たちについて「観れば必ずなにかを感じてくれるだろうと。一生懸命作れば若者も観てくれるだろうという考え方です」と真摯な表情で語った。
『男はつらいよ50 おかえり、寅さん(仮)』は、10月20日に都内ロケでクランクインし、東宝スタジオでのセット撮影、都内と近郊でのロケを経て、11月末にクランクアップ予定。旧作のシーンを織り交ぜて編集され、2019年春の完成を目指す。公開は2019年12月27日(金)予定。
取材・文/山崎 伸子