趣里「過去があっていまがある」挫折も糧となった飛躍の1年を語る

インタビュー

趣里「過去があっていまがある」挫折も糧となった飛躍の1年を語る

菅田将暉のギターに癒された!撮影現場秘話

「生きているだけで、なんでこんなに疲れるんだろう」とつぶやくほど問題を抱えた寧子を演じている期間は「さぞ大変だったのでは」と想像するが、趣里は「ものすごく楽しかったんですよ!」と意外な回答。「過去の自分に向き合う期間はつらかったけれど、撮影前に、これまでの苦しかった経験など、たくさん監督とお話をさせていただきました。共演者の皆さんも、身を委ねていればいいと頼れる方ばかりでした」とものづくりの喜びを感じられる現場だったと話す。

寧子の感情が爆発する
寧子の感情が爆発する[c]2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

服を脱ぎ捨てながら疾走し、たどり着いた屋上で寧子が自身の感情を訴えるシーンは、凍えるような寒さのなかでの撮影だったとか。その時間は、現場の一体感をたっぷりと感じられるひと時でもあったという。「あのシーンはものすごく時間もかかったし、とても寒かったんです。その日は菅田くんがギターを持って来ていて、撮影の合間には歌ったりしてこちらの気持ちも暖めてくれました。私は裸足だったので、菅田くんが小道具のカバンを持ってきてくれて、それを足の下に敷いてくれたんです。でもそのカバンもとても冷たくて(笑)!」。

ねこちゃんの反響の大きさにびっくり。バレエで磨いた表現力

今年はTBSドラマ「ブラックペアン」の“ねこちゃん”こと猫田役も話題に。「ほとんどセリフがない役だったので、その場で彼女がなにを考えてるのかをしっかりと考えて演じる必要がありました。ただそこにいるだけになってしまっては、意味がないですから。ものすごく考えましたね」と真摯に挑んだが、目や体全体からもキャラクターの感情がにじみでる確かな表現力は彼女の大きな武器。バレエで培われたものなのかと問うてみると「空間の考え方や立ち方など、バレエがいまの自分にとって役立っていると思うと、すごくうれしいんです」。

メンタルに問題を抱えた女性を、大胆かつ繊細に演じきった
メンタルに問題を抱えた女性を、大胆かつ繊細に演じきった

「でもこんなに“ねこちゃん”が反響をいただけるとは思っていなくて!」と反響の大きさにはびっくり。「ブラックペアン」の現場も「現場の空気がすごくよかった。皆さんからもらうものがたくさんありました」と『生きてるだけで、愛。』と同じように、「一人じゃない」と実感するような現場だったそう。「今年は“みんなでものづくりをしているんだ”という感覚を大きく得られた1年でした。もう少し若い時は、自分のほうに目が行き過ぎていたかもしれません。年齢を重ねるごとに、周囲も見渡せるようになって、“一人じゃないんだ、相手と一緒にやっているんだ”と実感できるようになってきた気がします」とニッコリ。「このようなタイミングで寧子という役に出会えて、本当に幸せです」と確かな足取りで女優道をひた走る趣里のこれからに、ますます期待したい。

取材・文/成田 おり枝

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