『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』リーアム・ニーソン独占インタビュー到着!PART2
(リーアム・ニーソン独占インタビューPART1から続く)
――ハンニバルと言えば、やはりあの葉巻が象徴的ですね。あなたは葉巻を吸うのでしょうか?
「もうタバコをやめて17年ぐらいになるんだ。ジョー(・カーナハン監督)が時々は葉巻を吸って欲しかったみたいで。そう、ミスター・ジョージ・ペパード(テレビシリーズのハンニバル役、故人)へのオマージュのつもりだと思うよ。どのタイミングで葉巻に火をつけるかは脚本を読んでわかっていた。でも小道具のスタッフからいろんなサイズのゴム製の葉巻を作ったと聞いていたんだ。だいたい吸っている葉巻に火がついているのって見たことないじゃないか。言ってる意味わかる? だから時々それを口にくわえていれば良いって思っていた。ゴム製なんだけど、すごくリアルにできていたから。でも、ジョーはそれがあまり好きではなくて。彼は昔の葉巻が好きな玄人っぽいところがある人だから。そこで葉巻を手に入れることになった。カナダにいたからキューバ産の葉巻。ちょっとだけ練習して、吸ってみた。初めて葉巻に火をつけた時、ブラッドリーと一緒のシーンの撮影をしていたんだ。葉巻の美しさとパワーに危うくやられるところだったよ。それはやっぱりタバコを止めていたブラッドリーも同じで。彼なんか「ねえ、それちょっとくれない?」って。そのシーンの撮影が終わるとすぐに僕は葉巻を口から出したんだけど、彼がそれをひったくって吸い始めたんだ。「おい、ブラッドリー、何するんだよ。危ないじゃないか」と言ったら、「お願い、これ1本だけ。ああ、なんて見事な葉巻なんだ」って言ってたよ(笑)。確かに危険なぐらい見事な葉巻だったね」。
――ハンニバルを含めて、これまでやってきた役柄同様、あなたも生まれながらのリーダーだと思われますか?
「いいや、そうは思わないな。そういう意味では決して会社人間タイプではない。サッカーチームのメンバーだったとかそういうことはあるよ。僕向きのスポーツじゃなかったけど。僕はボクシングをやっていたから。僕はああいう1対1のスポーツが好きなんだ。自分で動くことを考えるのが好きなんだけど、実生活ではそういうことはないな。もっと後ろに下がっている方が性に合っている。ディシジョン・メーカーじゃないんだ。実際に兵士たちと戦ったりしたら全くの役立たずだと思うよ。命令を聞く方がずっと好きだ。そういう方が向いてるんだ。だからリーダータイプでは全くないね」。
――それは面白い矛盾ですね。
「みんなそういう矛盾を抱えていると思うな。もう1つ僕が苦手としていることで、95%の俳優がそうだと思うのは人前で話すこと。誰もが、俳優なら『人前で話すのが得意ですよね』と言うんだ。それが文字通り恐ろしい。僕は最近、大学から名誉博士号を授与されたんだ。もう3年ぐらい前から話があったんだけど、ずっと断り続けていた。だってもしもらったら、人前で話をしなければならないだろう? それが怖いんだ。だから色々言い訳を考えて。それぐらい僕にとっては嫌なことなんだ」。
――肩の腱を切ってしまったことを除けば、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』の撮影はとても楽しかったようですね。
「その通り。共演者たちと過ごすのも楽しかったし、ジョーはものすごく独創性にあふれていた。あるマイクシステムを使って撮ったこともあった。僕らが何かをしていると、彼は突然何かをひらめいて『ブラッドリー、ブラッドリー。ちょっとこんなふうに言ってみて』とか『リーアム、リーアム。やっぱりさっき言ったセリフに戻して』なんて言い出す。彼はいつも何か書いているんだけど、それがすごく刺激的で。自分で決断しなければだめなんだ。それはとても面白いプロセスだった。今までそこまで考えたことがなかったから。時にはシーンを丸々変えてしまうこともあったよ」。
――長いキャリアを考えると、ほかのメディアではなく、映画にこだわられる理由はなんでしょうか?
「映画作りが好きなんだ。スタッフと一緒にいるのも好き。10年前を振り返ってみると、思い出すのは個々の俳優ではなくて、一緒に過ごしたスタッフなんだよね。あの映画の録音やこの作品の撮影監督というように、今でも覚えているのはそういう人たち。そういう人たちと過ごす日々が好きなんだ。映画のできばえに感無量になることもあるし、アクションとカットの声の間に流れる短い時間もとても大切なもの。でも、その他のこととなると、年をとるにつれて苦手になってるね。映画作りのプロセスの周囲にあるもの、宣伝活動なんかがまさにそれ。その時点でもう限界なんだ。そういうものに対応する精神的なエネルギーが残っていないんだ。だからそういうものは苦痛だね。でもアクションとカットの間にある短い時間は大好きだ。2年置きぐらいなら舞台に戻って使っていない筋肉を使うのもいいね。チャンスがあれば喜んでやるよ」。
――演じる役を選ぶにあたり、息子さんたちの目に映るイメージに対して責任を感じることはありますか?
「もちろん常に感じている。でも映画のクオリティ次第、どんなジャンルにしてもいいものができるか、そのジャンルとしていいストーリーになっているか、そして行き過ぎてないといったところが条件かな。じゃあ『96時間』はどうだったのかと聞きたいだろう。でもあれはあれでいいんだ。いつも頭の隅にあるのは息子たちがどう思うかってこと。それはあるシーンでの僕の演技が正直でないとか、いつもの調子で演技ができているかどうかとか、身体的な演技であってもね。どこか真実味に欠けていたとしたら、それが心に重くのしかかってくる。僕の息子たちもそういうところに気付く年齢になったんだ」。
現在、58歳のリーアム。体をはったアクションには頭が下がるばかりだ。次回作はジョエル・シルヴァー製作の『The Unknown White Male』(全米2011年公開予定)。ハウメ・コジェ=セラ監督の新作スリラーだ。共演はダイアン・クルーガー、ジャニュアリー・ジョーンズ、エイダン・クイン、そしてブルーノ・ガンツ。円熟味を増した素晴らしい演技でこれからも楽しませてもらいたい。【MovieWalker】