ファンタビ&ハリポタ全作の小道具を作った人物を直撃!最新作のカギを握るペンダントも登場

インタビュー

ファンタビ&ハリポタ全作の小道具を作った人物を直撃!最新作のカギを握るペンダントも登場

J.K.ローリングが生みだした「ハリー・ポッター魔法ワールド」の最新作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』が11月23日(金・祝)より公開される。このたび『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)からシリーズ全作の小道具を手掛けてきた造形美術監督のピエール・ボハナに、本シリーズを語るうえで欠かすことのできない小道具の裏話や最新作の見どころについて聞いた。

“ファンタビ”の世界観を作り上げる第一人者、ピエール・ボハナにインタビュー!
“ファンタビ”の世界観を作り上げる第一人者、ピエール・ボハナにインタビュー!

「二転三転していく脚本はもちろん、監督やプロデューサー、俳優たちの意向も聞きながら形にしていくんだ」と、ボハナは小道具制作の基本的なプロセスを明かす。ローリングの原作小説と脚本、共に文字情報で表現された“魔法道具”を視覚化するためには「常に現在進行形で修正を重ねていくことになる」と語るボハナ。映画の世界をよりリアルなものにさせるための小道具制作という作業に正解はなく、様々な試行錯誤を重ねて着実に具現化していくというのだ。

「例えば杖のデザイン一つにしても、それぞれのキャラクターにどんな特徴があって、このキャラクターはどういうデザインが好きなのかを考えながら作業を進めているんだよ」。それだけじっくりとディテールにこだわることができるのは、『〜賢者の石』から全作で美術監督を務めるスチュアート・クレイグの存在があってこそだとボハナは明かす。「ほかの美術監督はあまり小道具に興味を持ってくれないが、スチュアートは違う。彼は徹底していて、細かいところまでしっかりと見てくれるんだ」。

ピエール・ボハナはたくさんの魔法道具と共に来日した
ピエール・ボハナはたくさんの魔法道具と共に来日した

また「ハリー・ポッター」シリーズと言えば『〜賢者の石』のクリス・コロンバスに始まり、アルフォンソ・キュアロン、マイク・ニューウェルら監督が交代してきたことでも知られ、それぞれの監督の特徴が作品に強く反映されている。そんななかで『〜不死鳥の騎士団』(07)からシリーズに携わり、本作まで6作連続でメガホンをとっているデイビッド・イェーツ監督はこのシリーズを語るうえで欠かすことのできない人物と言えよう。

「彼が監督になってから、確かに変わった部分があった」と語るボハナは、イェーツとほかの監督との違いについて「デイビッドは舞台監督のようなこだわりを持つ人だ。とにかくキャラクターを徹底的に掘り下げていく。これまでの監督と物語へのアプローチの方法が大きく異なっている」。それだけに、小道具とキャラクター設定の親和性が作品を重ねるごとにより強くなっていることを感じずにはいられない。

さらにボハナは「『〜賢者の石』の頃と比べると、いまの小道具作りはまったく違うものになった」と振り返り「『ハリー・ポッター』シリーズは、映画作りの歴史を変えてきた。当時のVFXではできることに限りがあったが、いまもVFXは日々進化している。そしてなにより我々スタッフにできることの可能性も格段に広がった。経験を積んできたことで、より良い仕事ができるようになったんだ」と力強く語る。

【写真を見る】最新作の最重要アイテム!?このペンダントに隠された秘密とは…?
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そしてにっこりと微笑みながら「観客は映画を観る時に、そこに映る職人技を観るわけではなく、良いストーリーを求めている。だから僕は、小道具はストーリーを語る一要素であるという意識を持ったうえで、常に良いものを作りだすことを心がけているよ」と裏方としてのプライドを見せつける。

最後に最新作の見どころについて訊いてみると、手のひらに収まるくらいの大きさのペンダントを見せてくれたボハナ。「このペンダントはかなり大事なものだ。どこまで話していいのか難しいけれど、とある2人を繋げる小道具なんだ。これを通して、ある秘密が明らかにされるんだよ」と含みを持たせる。そして物語についてはジョニー・デップ演じる黒い魔法使い・グリンデルバルドの名前を挙げ「彼がなにを企んでいて、そしてなにをしようとしているのか。それが非常に大きなポイントとなるよ」とにやり。果たして最新作ではどんな世界が待ち受けているのか、期待は高まるばかりだ。

取材・文/久保田 和馬

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