清水崇が世界初の3Dカメラで撮った画期的な3D映画がお披露目
第67回ヴェネチア国際映画祭で、3D映画部門の審査委員長に抜擢された、『呪怨』シリーズの清水崇。彼の監督最新作の3D映画『ラビット・ホラー3D』(2011年公開)のフッテージ映像が、9月10日(金)に映画祭のセレモニーの場で、全世界に向けてプレミア上映されることが決定した。
『ラビット・ホラー3D』の主演に、若手注目度ナンバーワン女優の満島ひかり。満島は「おばけが出てきてギャーっと驚くホラー映画は怖くて苦手なのですが、この作品は可愛くて哀しくてキュンとする静かな物語なので、参加することに決めました。ぞっとする場面もありますが、明るいスタッフたちに助けられ楽しく冷静に撮影しています」とコメント。
共演に香川照之、大森南朋、緒川たまき、撮影監督にクリストファー・ドイルと、豪華なスタッフ&キャストが集結。本作は、パナソニックの一体型二眼式3Dカメラレコーダー AG-3DA1を初使用した3D映画としても注目されている。パナソニックは昨年『アバター』(09)とのタイアップにより、全世界に3Dを大アピールしたが、自国の3D映画の追随がない現況に加え、清水監督の『戦慄迷宮3D』(09)による“3D技術の活用法”に感銘を受け、今回自社の未来を左右する3Dカメラを、清水崇のチームに預けることを決断した。
このカメラの使用により、小型性の機動力をフル活用しながら、速度への対応(速いカット、手持ちカメラなど)、そして従来のシステムでは成し得なかったズームレンズ(二眼同時ズーム)により、観客をスクリーンにより没入させることを可能にした。
また、3D映画と言えば立体=飛び出し効果だが、最近のハリウッドの3D映画は、全作品、奥行効果には長けているが、スクリーン面から飛び出す効果が全く感じられない。清水監督は、ジャパニーズホラーで習得したショック演出を3D設計に活用。3Dの奥行きにより観客を恐怖世界に引き込みながら、突然飛び出す驚愕演出を多用し、スクリーン面を軸に、スクリーン面より前=飛び出し効果、そしてスクリーン面より奥=奥行効果というまさに3次元を活用し、スリリングな映像世界を作り出した。
『ラビット・ホラー3D』の特別フッテージ上映には、ヴェネチアの本選、コンペティション部門の審査委員長であるクエンティン・タランティーノも出席予定だ。『呪怨』のファンを公言するタランティーノが、本作をどう見るか? また、本選の授賞式の前日、多忙な中、3Dアワードに出席するタランティーノは、3Dという分野に並々ならぬ意欲を示していると映画祭関係者が語る。そう遠くない未来に、タランティーノ自身がその分野に参戦するのではないだろうか!? いずれにしても、9月10日のタランティーノの反応が気になるところだ。【Movie Walker】