世界のエンタテインメントの常識を変えたNetflix!野望は「コンテンツで世界を一つに」

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世界のエンタテインメントの常識を変えたNetflix!野望は「コンテンツで世界を一つに」

アジア初の開催となったNetflixの新作コンテンツを紹介するイベント「See What’s Next: Asia」にて、Netflixの設立者でCEOのリード・ヘイスティングスとコンテンツ最高責任者のテッド・サランドスが、13年にアジア各国でサービスを開始してからの変化について語った。

映像エンタテインメントの歴史を語る上で、押さえておくべき3つの革命がある。1890年代の映写機とフィルムカメラ発明による映画の創生、60年代のテレビ放送開始、そして90年代のインターネットの普及だ。そして、4つ目の革命は、Netflixが牽引したと言ってもいい。Netflixの出現によりエンタテインメントがオン・デマンド化し、観たいときに観たいものをどもでも観られるようになり、アルゴリズムによって各ユーザーの視聴傾向にあった作品が自動的におすすめされるようになった。だが、もっとも大きな変化は、コンテンツのボーダレス化を推進し、世界中のエンタテインメントが簡単に観られるようになったことだろう。

現在、Netflixは世界190か国以上の国で20言語にわたるサービスを提供しており、1億3000万人の会員数を持つ。「もちろん、私たちのサービスはまだ小さく、YouTubeの1/7程度の視聴者数しかないのですが…」と前置きした上で、ヘイスティングスCEOはこう語った。「わたしたちは、物語に投資します。世界中の優れたクリエイターと提携し、ここアジアでもインドや韓国、シンガポール、インドネシア、そして日本のクリエイターと物語を作り、世界中に配信します。物語を共有すると、何が生まれると思いますか?つながりが生まれるんです。今日の世界で、異文化をつなぐものはとても希少ですよね。世界中には様々な人たちが暮らしているけれど、エンタテインメントを通じて、みんなが同じように楽しみ、希望を持っていることに気づかされる。Netflixは一人ひとりに向けたカスタマイズとオン・デマンド配信で、世界中の物語を楽しむための良策を投じたと自負してます」。

エンタテインメントによって世界を一つにする。国連でも到底成し遂げられないような壮大な野望も、Netflixなら実現させてしまうのではないかと期待を持つ。コンテンツ最高責任者のテッド・サランドスは、Netflix躍進の道は“バリア撤去作業”であり、「決められたテレビのスケジュールを取り払い、言語の壁を取り払い、ビジネスモデルの違いを取り払い、コンテンツを世界中で楽しめるようにした」と語る。

カナダを皮切りに進められた世界進出の際に最も問題となったのが、国によって権利が異なり、コンテンツを供給できない地域があることだった。例えば、Netflixオリジナルとして製作された人気ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」も、日本国内では放送権もビデオ権もNetflix以外の会社が保持していた。だが、配給権をめぐる視聴範囲の制限は業界側の都合であり、ユーザーにはなんら関係がない。Netflixはそれらの複雑なビジネスモデルを見直し、日本でも2016年3月のシーズン4より世界同時配信され、現在はシーズン1から最終シーズンであるシーズン6までを一気に観ることができる。

来年以降、Netflixはアジア各国の作品を飛躍的に増やしていく。今回のイベントでも日本のアニメコンテンツから、インド、韓国、タイ、インドネシアなどで作られているNetflixオリジナル作品の発表が相次いで行われた。コンテンツの視聴習慣を変え、製作環境を変え、そしてビジネスモデルを変えたNetflixの躍進はまだまだ止まりそうにない。

取材・文/平井伊都子

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