捨てられた“段ボール”に萌える!?この変人アーティストは誰だ?
スニーカー、レコード、VHSなど、これまで様々なコレクターにスポットを当てた映画が作られてきたが、今度はなんと段ボールマニア(!)の姿を追ったドキュメンタリー『旅するダンボール』が、12月7日(金)より公開される。世界中を旅しては段ボールを拾い漁っている男とは、一体…?
男の名は島津冬樹。朝から晩まで、段ボールを拾い集める生活を、年中行なっている筋金入りのマニアだ。日本だけでなく、これまでに世界30か国に足を運んでは、その土地の段ボールやチラシといった普通の人からしたらゴミとしか思えないようなものを収集。一言でいってしまえば変わり者だ。
映画は、そんな島津の段ボール漁りに同行。青果市場に足を運び、大量の段ボールを目の前にすると「この色が鮮やかでいいですね」「日本のものはかわいいキャラクター系が多いんですよ」などと漏らしながら、まるで宝物を前にしたかのように、目を輝かせて次々とチェック。レトロなデザインが印刷された徳之島産のジャガイモの段ボールを見つけた際には、中に芋が入っているにも関わらず、市場の人と交渉して、段ボールを手に入れるほど。さらに本作は、その段ボールがどのようにして作られたのか、その源流を追う旅へと発展していく。
実は、この島津、マニアであるだけでなく、拾った段ボールを使って、財布やカードケースなどを作り出すアーティスト。もともと貧乏だった学生時代に、大好きな段ボールを使って間に合わせの財布を作ったことをきっかけに始めた財布作りだが、現在では不要物から価値あるものを作り出す、リサイクルの先をいく“アップサイクル”の可能性として、世界で注目を集めるほどなのだ。実際に、国立新美術館での展示期間中に彼の作品が販売されると、お土産として外国人から人気を博したのだそう。
島津の段ボールへの偏執的な愛に加え、何気なく捨てている段ボールの裏側にある様々なドラマを感じることができる本作。「音楽」「フィルム」「テクノロジー」の祭典SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)2018でも注目を集めた、この冬観逃せない1本だ。
文/トライワークス