女性用の“アレ”が高級品!?つい最近とは思えないインドの驚きの実情
インドで女性用の安価な生理用品の製造に尽力したアルナーチャラム・ムルガナンダムをモデルとした映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』(12月7日公開)。ナプキンが普及されるまでの奮闘を描きだす本作には、日本人が見ると驚いてしまうようなインドの実情が描かれている。
本作は、主人公のラクシュミが、妻やインドの女性のために、清潔で安価な使い捨てナプキンを生み出そうと、インド社会のタブーに触れたり、自らの体と動物の血を使った実験をしたりと悪戦苦闘しながらも、ついには安価なナプキンが生産できる機械を開発するまでの道のりを追っていくというストーリー。日本とは異なるインドならではの事情も見受けることができる。
そもそも映画の時代設定だが、これがかなり最近のこと。主人公のラクシュミは98年に、妻を迎え入れるのだが、結婚して初めて、ボロ布を使用している妻のように、ほとんどの女性が衛生的な状況にいないという生理の事情を知ることに。使い捨てナプキンが61年に発売され、70年代に安価なものが普及し始めた日本と比べると、かなり遅れている状況なのだ。
もちろんインドにも、その頃から使い捨てナプキンが販売されていたにはいたが、その値段は約55ルピー。ファーストフード店のドリンク1杯が、5ルピーほどであり、日本の価値では、1000円を上回ると言えるだろう。中身の素材の何十倍もの値段をつけられており、多くのインド人には手の出ない高級品だったのだ。
また、宗教的な価値観が強いインドでは、いまだに生理=穢れという考え方が色濃く残っており、生理を語るだけでも、奇異の目で見られるほど。ラクシュミが薬屋でナプキンを買った時には、まるで違法なものでも渡すかのようにレジの下からコソコソっと手渡される始末だ。そんな状況のなか、ラクシュミは周囲の女性に開発の協力を求めるが、次々と拒絶されてしまい、村人から変態扱いされ、ついには村を離れなければいけないことになってしまう。
さらに、昔の日本には月経小屋というものがあったように、世界各国には小屋や部屋に隔離するという風習があるところも。映画でも、妻のガヤトリは、生理の期間中、当たり前といった顔で、穢れを部屋の中に入れないために廊下部分で寝起きしているのだ。
インドでは、今年の7月に女性の生理用品に対する12%の課税を撤廃するとの発表があったが、いまなお多くの人が、清潔な生理用品を使用できていないのが現状。『パッドマン 5億人の女性を救った男』の公開をきっかけに、こういった実情に興味を持ってほしい。
文/トライワークス