『カメ止め』上田慎一郎監督の放つエネルギーとは?周囲が人間力に一目惚れ
興行収入30億円を突破するなど、社会現象を巻き起こしている『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が2016年に製作した短編映画『ナポリタン』の上映会が12月1日、千葉・幕張メッセで開催中の「東京コミコン2018」で行われた。トークショーには出演者の牟田浩二、井関友香、主題歌を担当した橋本晃洋、エグゼクティブプロデューサーの清水佳代子が登壇し、パワーに満ちた上田組の秘密を明かした。
『ナポリタン』は、ある日突然、他人の言葉がすべて“ナポリタン”としか聞こえなくなってしまった男の姿を描く風変わりな物語。『カメラを止めるな!』で「よろしくで〜す」が口癖の主演女優を演じた秋山ゆずきが、本作でもヒロインを演じている。
『カメラを止めるな!』も作り手の熱意やパワーが伝わる映画だったが、『ナポリタン』でヒロインの父親役を演じている牟田は「『カメラを止めるな!』もそうですが、(スタッフ、キャストが)遊んでいるような感じで作られた映画」と口火を切り、「高校生のような遊び心がある。高校生のような気持ちでやりました」と“楽しむこと”こそ、上田監督作品のパワーの秘密だという。
清水プロデューサーは「持って来た『ナポリタン』の企画書は2枚くらいだった。“ナポリタン”と書いた紙、ナポリタンの写真。その下にあらすじが書いてあった」と不思議な映画の企画が持ち込まれたことを振り返ったが、「私たちの会社に初めて上田監督が入って来た時、瞬時に好きになった」と告白。「一目惚れ。姿形が最高。顔が最初から笑った作りになっている。笑っている顔にしか見えないような犬とか、そういう感じ。そこに射抜かれた。“ナポリタン”と書いた紙と写真を見た瞬間に『やろう』と言った」と上田監督が放つエネルギーと人間力にすぐさま惚れ抜いたことを明かしていた。
即座に映画化を決めた清水プロデューサーだが、「コメディでありながら、泣きそうになる。笑いあり、ホロッとするようなところありの、とても楽しい映画です」と完成作にも大満足の様子。映画上映中にも、観客から楽しそうな笑い声が上がっていた。
取材・文/成田 おり枝