ディズニー版『くるみ割り人形』、キーラ・ナイトレイの演技に影響を与えたものとは?
チャイコフスキーの手掛けたバレエ音楽などで語り継がれてきたE.T.A.ホフマンの不朽の名作「くるみ割り人形」を、『シンデレラ』(15)や『美女と野獣』(17)のディズニーが実写映画化した『くるみ割り人形と秘密の王国』(公開中)。このたび、主人公クララが迷いこむ<秘密の王国>にある“お菓子の国”の統治者シュガー・プラムを演じたキーラ・ナイトレイのインタビューを入手した。
本作は『ギルバート・グレイプ』(93)などで知られるラッセ・ハルストレム監督と、『ジュマンジ』(95)のジョー・ジョンストン監督が共同監督を務め、絢爛豪華な美術や衣装、そして圧巻の映像美で描き出されるファンタジー超大作。母を亡くした少女クララはクリスマスパーティの夜に、名付け親ドロッセルマイヤーからのプレゼントを受け取るゲームに参加。いつの間にか不思議な世界へと足を踏み入れていく。
クララがたどり着いた<秘密の王国>は、“お菓子の国”と“雪の国”、“花の国”と“第4の国”からなる幻想的な世界。キーラが演じるシュガー・プラムは“お菓子の国”を統治し、王国のプリンセスであるクララを優しく受け入れていくのだ。「私は役作りをする上で、たくさんのリサーチをするのが好きなんだけど、シュガー・プラムに関しては調べられることが少なかったの」とこの役柄の難しさについて振り返るキーラ。
「だからまずはシュガー・プラム・フェアリーがテーマの音楽を、どうやって役に組み込めるかを考えたの。そうしたら頻繁に出てくる旋律の音の切れ目がまるで笑い声みたいに聞こえることに気がついたの!」。その言葉通り、シュガー・プラムは笑顔の絶えない朗らかな雰囲気を放つ。そして、その雰囲気をより強くさせているのは、色とりどりの衣装とヘアメイクにほかならない。
「今回の映画のスタイルは、私の演技にとても大きな影響を与えたと思う。綿あめでできた髪の毛や、ランプシェードのようなドレスは必然的に演技の方向性を促してくれたの」。そしてキーラは、シュガー・プラムという役柄のファースト・インプレッションが“女性政治家”であったことを明かし、メイクテストを繰り返しながらマリリン・モンローやドラァグクイーンのような一面も加えていったのだとか「彼女の外見に上手く一致するように演技を変化していったの」と、自信たっぷりに語った。
これまで幾度も映像化されてきた「くるみ割り人形」ではあるが、キーラ自身も「実はバレエ作品以外では観たことがなかった」と明かす。そんな彼女が本作に参加した大きな理由のひとつが「流れる美しい音楽の数々」だそうで、「それは私が『くるみ割り人形』というバレエ作品に惹かれた部分でもあった」と語る。
そして「多くの人はこの『くるみ割り人形』を美しい音楽が一体となったバレエ作品として知っていると思うから、ミスティ・コープランドが披露するバレエシーンであったり、本作でも音楽を始めとする様々な要素が集結していることはとてもすばらしいと思う」と熱弁。美しすぎる映像世界はもちろんのこと、作品を彩る音楽にも注目してほしい!
文/久保田 和馬