村上春樹原作の『バーニング』謎を解くカギは“蜜柑むき”!?本編映像を独占入手
『オアシス』(02)や『シークレット・サンシャイン』(07)などで知られる巨匠イ・チャンドン監督が8年ぶりにメガホンをとり、第71回カンヌ国際映画祭で大絶賛を獲得。韓国映画初のアカデミー賞外国語映画賞ノミネートも有力視されている『バーニング 劇場版』が2月1日(金)より日本公開。このたび本作のミステリーを紐解くヒントとなるであろう、本編映像の一部を独占入手した。
日本が世界に誇る小説家・村上春樹が80年代に発表した短編小説「納屋を焼く」を原作に、映画オリジナルストーリーを構築するなど大胆なアレンジを施した本作。小説家を目指す主人公ジョンスは、幼なじみのヘミからアフリカで出会ったという正体不明の男ベンを紹介される。ある日、ジョンスの家を訪れたヘミとベン。そこでベンは、ジョンスにこっそりと自分の秘密を打ち明ける…。
このたび解禁された本編映像は映画の序盤、ジョンスが偶然ヘミと再会し2人で食事に行くシーン。そこでヘミは最近パントマイムを習いはじめたと話し、ミカンを食べるパントマイムを披露する。このシーンは原作にも登場する有名な“蜜柑むき”のシーンで、それを忠実に再現。ヘミの才能に驚くジョンスに対し、ヘミが返す言葉には本作のテーマが隠されている。「ここにミカンが“ある”って思わないで、ミカンが“ない”ことを忘れたらいい」。
先日来日したイ・チャンドン監督は、記者会見の際にこのシーンについて「私たちが生きていくうえで、人生の大切な問題を語っている」と明かし「この映画はミステリー、あるいはスリラーの枠を持っていますが、目に見えるものと目に見えないものの境界にある秘密やミステリーを描いている」と解説した。
また、ヘミ役を演じたチョン・ジョンソは本作が映画デビュー作。数か月にわたるオーディションを勝ち抜いた彼女は、このシーンを演じるためにパントマイムを習得。「テクニック的にではなく、情緒的にヘミというキャラクターに近づけるよう習いました」とコメント。村上春樹作品のヒロインらしい自由奔放な様子を魅力的に演じきったジョンソは、劇中で新人女優とは思えない“むき出し”の演技の数々を披露。是非とも彼女の演技に注目してほしい。
文/久保田 和馬