AKIRA「リーダーは劇場で見る」!? 『半次郎』初日舞台挨拶
明治維新の時代に活躍した薩摩武士・桐野利秋(中村半次郎)の生涯を描いた時代劇『半次郎』が公開初日を迎え、キャストと監督がシネマート六本木で舞台挨拶を行った。本作は、主演の榎木孝明が自ら企画を立ち上げ、13年の歳月をかけて実現した力作。作品を鑑賞し終えたばかりの熱気に包まれた劇場で、榎木たちが作品に込めた思いを語った。
幕末の動乱期、新撰組さえ恐れた薩摩の侍・中村半次郎(榎木孝明)。貧しい下級武士として育ちながらも、西郷隆盛に剣の腕を認められ、右腕的存在として維新に尽力。やがて西南戦争で非業の死を遂げる半次郎の生涯が描かれていく。
ずっと半次郎を演じたいと願ってきたと話す榎木は、「夢にまで見た映画の公開。ずっと演じたいと憧れを抱いていました。夢は、見続けることと周りに言い続けること。私個人の発想から始まった企画ですが、半次郎の生き方が世の中の活性化につながればいいなと思います」とコメントした。
半次郎の親友・永山弥一郎役をEXILEのAKIRAが好演。時代劇初挑戦となった彼は、劇中鮮やかな立ち回りを披露している。「僕は肉体を痛めつけていくタイプなので、夜中に自分の家の庭で練習しました。でも隣の住人からちょっと怪しいと思われたかもしれません(笑)」と役作りのエピソードを語った。また、EXILEのメンバーたちの反応を尋ねられたAKIRAは、「メンバーの何人かには見てもらいました。みんな『感動した!』といきり立っていました。リーダーは『劇場で見たい』と言ってくれました」と答えた。
半次郎と心を通わせる娘・さとを演じた白石美帆は、「榎木さんの魅力に惹きつけられた素晴らしい人々とたくさん出会うことができました。西南戦争のシーンの撮影中、監督がエキストラさんに向かって“そんなんで戦えるのかー!”って盛り上げていました」と撮影を振り返った。メガホンをとった五十嵐匠監督は、「実在の人物を映画化するのは辛い。西南戦争で13歳や14歳で亡くなっていった彼らの墓地を通ることがあり、簡単には作れないなという思いになりました」と撮影中の思いを話した。
最後に榎木は、「現在の日本人は自信をなくしているのではないかと思う。そんなことを見つめ直すきっかけになれば良いなと思います。今年は時代劇が多い年なので、ほかの作品と見比べて楽しんでほしいです」と作品をアピールし、舞台挨拶は終了となった。
榎木孝明が長年演じたいと夢に見ていた半次郎の生き様は、現代の世の中に大切な何かを問いかける。時代に散った男たちの戦う姿を、是非とも劇場で感じてとってほしい。【取材・文/鈴木菜保美】